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平成25年6月定例会(第2日目) 名簿
平成25年6月定例会(第2日目) 本文

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  1. 島根県議会 2013-06-02
    平成25年6月定例会(第2日目) 本文


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    島根県議会会議録検索 検索結果一覧へ戻る 検索をやり直す (このウィンドウを閉じます) 使い方の説明 (新しいウィンドウで開きます) 平成25年6月定例会(第2日目) 本文 2013-06-10 文書発言の移動 文書 前へ 次へ 発言 前へ 次へ ヒット発言 前へ 次へ 文字サイズ・別画面表示ツール 文字サイズ 大きく 標準 小さく ツール 印刷用ページ(新しいウィンドウで開きます) 別ウィンドウ表示(新しいウィンドウで開きます) ダウンロード 表ズレ修正 表示形式切り替え 発言単文選択全文表示を切り替え 単文表示 選択表示 全文表示 発言者表示切り替え 全 37 発言 / ヒット 0 発言 すべての発言ヒット発言表示切り替え すべての発言 ヒット発言 選択表示を実行・チェックの一括変更 選択表示 すべて選択 すべて解除 発言者一覧 選択 1 : ◯議長五百川純寿選択 2 : ◯絲原徳康議員 選択 3 : ◯議長五百川純寿選択 4 : ◯知事溝口善兵衛選択 5 : ◯議長五百川純寿選択 6 : ◯石原真一議員 選択 7 : ◯議長五百川純寿選択 8 : ◯知事溝口善兵衛選択 9 : ◯議長五百川純寿選択 10 : ◯健康福祉部長原仁史選択 11 : ◯議長五百川純寿選択 12 : ◯土木部長宮川治選択 13 : ◯議長五百川純寿選択 14 : ◯副議長福間賢造選択 15 : ◯園山繁議員 選択 16 : ◯副議長福間賢造選択 17 : ◯知事溝口善兵衛選択 18 : ◯副議長福間賢造選択 19 : ◯地域振興部長西山彰選択 20 : ◯副議長福間賢造選択 21 : ◯農林水産部長石黒裕規選択 22 : ◯副議長福間賢造選択 23 : ◯商工労働部長中村光男選択 24 : ◯副議長福間賢造選択 25 : ◯園山繁議員 選択 26 : ◯副議長福間賢造選択 27 : ◯地域振興部長西山彰選択 28 : ◯副議長福間賢造選択 29 : ◯中村芳信議員 選択 30 : ◯副議長福間賢造選択 31 : ◯知事溝口善兵衛選択 32 : ◯副議長福間賢造選択 33 : ◯副議長福間賢造選択 34 : ◯知事溝口善兵衛選択 35 : ◯副議長福間賢造選択 36 : ◯健康福祉部長原仁史選択 37 : ◯副議長福間賢造) ↑ 発言者の先頭へ 本文 ↓ 最初のヒットへ (全 0 ヒット) 1:        午前10時4分開議 ◯議長五百川純寿) おはようございます。  これより本日の会議を開きます。  日程第1、「県政一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑」を行います。  これより一般質問を行います。  質問の通告がありますので、議長が指名して順次発言を許します。  絲原議員。  〔絲原徳康議員登壇、拍手〕 2: ◯絲原徳康議員 おはようございます。自民党議員連盟の絲原徳康でございます。  ただいまより、3項目について一般質問を行いますので、知事の明快なる御答弁、よろしくお願いを申し上げます。  まず最初は、出雲大社の平成の大遷宮を中心とした島根の観光全般についてお伺いをいたしたいと思います。  60年ぶりの平成の大遷宮を迎えた出雲大社では、去る5月10日、本殿遷座祭がとり行われ、私も遷座祭に参列させていただきました。当日は、雨模様でありましたが、午後7時から始まる神事の前には雨も上がり、境内にわずかな明かりがともる中、1万2,000人の参列者に見守られ、神職の方々が担ぐみこしに乗った御神体は、改修を終えた国宝本殿へと向かいました。やがて、おうおうおうという警蹕三声が響き渡り、御神体の帰還が告げられました。そして、祭事が終わると同時に一陣の風が吹き抜け、再び雨が降り出しました。それはまさに神がかりのような出来事で、参列者の方も神の力を感じたのではないでしょうか。厳かな神事を目の当たりにして、改めて出雲大社の荘厳さと歴史の重みを肌で感じた1日でした。きっと、私以外の参列者も思いは同じであったと思います。  御承知のとおり、古事記に登場する神々の物語のうち約3分の1を、いわゆる出雲神話が占めており、中でも大国主命にまつわる国譲りの神話の象徴が出雲大社であります。平安時代の書「口遊」には、雲太、和二、京三という言葉があり、出雲大社が当時の建築では最も高く、次いで東大寺大仏殿、3番目に京都の平安宮大極殿が当たるとされております。出雲大社はその壮大な建物といい、伝統的な神事といい、いにしえの時代から現代まで、出雲の代表的存在であり、島根の誇りとも言えるのではないでしょうか。  本殿遷座祭には、知事も参列されましたが、どのような感想をお持ちになられたでしょうか。お聞かせを願います。  さて、本殿遷座祭以降は、本殿への参拝客で長蛇の列ができる日もあると聞いております。また、石畳が敷かれ、装い新たになった神門通りなど、出雲大社周辺にもたくさんの観光客がお越しになり、お客様が町歩きを楽しんでいらっしゃる姿が目立つようになりました。神門通り沿いにある観光案内機能を持つおもてなしステーションでも、出雲大社周辺に関することはもとより、松江や石見銀山の問い合わせもよく寄せられるとのことであります。  また、口コミサイトを運営する旅行会社のアンケートでは、2013年に行きたいイベントのトップは東京ディズニーリゾート、以下、伊勢神宮の式年遷宮、出雲大社の平成の大遷宮と続き、こうしたことからも、引き続き多くの観光客の来県が期待されるところであります。  県では、この歴史的な節目に、島根が全国から脚光を浴び、神々の時代から受け継がれてきた島根の魅力を多くの方に知っていただく絶好の機会として、「神々の国しまね」プロジェクトを展開されています。このプロジェクトのシンボル事業として昨年開催された神話博しまねには、予想を上回る73万人の方が来場され、多くのお客様に神話の魅力に触れていただき、県民の方にとっても、これまで以上に郷土への愛着と誇りを持っていただくきっかけとなったのではないでしょうか。  また、京都・東京国立博物館では出雲展が開催され、宇豆柱を始め古代出雲に関する展示が好評を得て、21万人を超える方に御来場いただき、島根への関心を大きく高める契機となりました。  一方、県内においても、出雲神楽と食のフェスタ、全国万葉フェスティバル、隠岐ジオパークフェスティバルなどが開催され、各地域で観光誘客が図られたところであります。
     全国的な古事記編さん1300年への関心の高まりと相まって、最近、書店では、古事記に関する書籍や雑誌も多く見受けられるようになり、また出雲大社周辺を観光された方がインターネットを通じて、神秘性を感じたとか、ぜひ行ってみるべきとの声がブログとして掲載されるなど、島根への注目度が着実に高まりつつあるのではないかと感じております。  ところで、観光を取り巻く環境を見ますと、価値観やライフスタイルの多様化を背景に、旅行の形態が団体旅行から個人・グループ旅行に変化してきており、また一般的な観光スポット周遊型ではない文化鑑賞や体験を盛り込んだテーマ性、趣味性の高いパッケージツアーを設定した、いわゆるこだわりの旅を提供する旅行商品がふえております。これからの観光は、その土地ならではの本物の価値を求めて訪れる人々への対応を考えていく必要があるのではないでしょうか。  60年に1度の平成の大遷宮を迎えた出雲大社、華麗勇壮な舞が人々を魅了する神楽、県内各地にいにしえから伝わる神話ゆかりの地、ジオパーク世界認定を目指す隠岐の豊かな自然や景観など、島根には島根でしか味わえない本物の価値を体感できる魅力ある素材が数多くあります。本物の価値を観光客に伝えることにより、観光だけでなく、県産品の販路拡大や島根への定住にもつながるのではないでしょうか。  私ども議員の提案により、平成20年3月に制定されたしまね観光立県条例では、その前文において、島根県の魅力は、自然美と時空を越えた営みの蓄積である。豊かな自然と神々の時代から連綿と受け継がれてきた営みが放つ輝きは県民共有の至宝であり、我が国の大きな財産でもある。私たちは、住む人がともに笑顔で交わることのできる空間をつくり、育み、未来に伝えることを決意した。ここに観光立県を宣し、行政と県民が協働し、ともに着実な歩みを進めることを誓うと記しております。  このたびの出雲大社の平成の大遷宮や「神々の国しまね」プロジェクトは、この条例の思いが象徴された有意義な行事であり、取り組みであったように思います。「神々の国しまね」プロジェクトは今年度で終わりますが、これまでのプロジェクトの成果や課題を踏まえ、さらなる島根の知名度アップや継続的な誘客活動、地域づくりを推し進めていく必要があると考えますが、今後の事業展開について、知事のお考えを伺います。  次に、農林水産行政に関する新制度への対応について質問をいたします。  県では、持続的に発展する島根の農林水産業・農山漁村の実現に向けて、昨年3月に、農林水産分野の総合的な計画である新たな農林水産業・農山漁村活性化計画第2期戦略プランを策定し、当面における施策展開の方向に基づき、地域課題の解決に向け、関係者が一体となって戦略的に取り組まれているところであります。  しかしながら、御承知のとおり、農林水産業は担い手の減少や高齢化の進展が叫ばれて久しく、さまざまな振興策や支援策が施されてきておりますが、特に中山間地域においては、休耕、耕作放棄地の拡大、森林の荒廃、漁獲量の低迷など、農林水産業の弱体化に歯どめがかからない状況が続いております。昨今の状況としては、TPP交渉の参加や生産物価格の低迷、輸入農林水産物との競合、円安を背景とする原油価格や生産資材の高騰など、さまざまな点で大変厳しい状況に置かれております。  一方、国民からは、食料自給率の向上や安全・安心な農林水産物の供給、農地や森林が有する国土保全への貢献や農山漁村の美しい景観・伝統文化の継承など、農林水産業に対する期待が高まっており、さらには国際的な食市場の拡大や国内での食の多様化などにも柔軟な対応が求められているところであります。  国では、このような状況が、我が国農林水産業の大きな変革期にあるとして、農山漁村に受け継がれた豊かな資源を活用し、農林水産業の振興を強力に推し進める目的で、本年1月末、農林水産省に大臣を本部長とした攻めの農林水産業推進本部が設置されたところであります。  さらには、農林水産業・地域が将来にわたって国の活力の源となり、持続的に発展するための方策を、地域の視点に立って幅広く検討することが必要として、この5月には、首相を本部長とする農林水産業・地域の活力創造本部が内閣に設置されたところであります。  内閣や農林水産省のこうした体制は、その設置目的からも、地域の視点に立ち、地域資源の活用を図りながら農林水産業を強力に振興しようとする現政権の姿勢を色濃く反映したものであり、大変心強く感じているところであります。  これら国の動きに対し、政権与党である自民党においても、地域総参加で地域全体が活力に満ち、産業として成り立つ強い農業・農村を創造するとして、農業・農村所得倍増目標10カ年戦略を目指すべき農政の指針としてまとめたところであります。  こうした体制において検討される項目については、農林水産行政の転換期として、大所高所からさまざまな課題が検討されていると思いますが、特に農業の生産現場の強化策としては、既存の制度の見直しを盛り込みながら、日本型直接支払いや担い手総合支援といった新たな制度を創出することが検討されていると伺っております。  そこで、こうした国の新たな制度創設の動きに対し、どのように対応されるのか、知事のお考えをお聞かせください。  次に、職員の給与を減額する措置について伺います。  本年1月24日、公務員の給与改定に関する取り扱いについて閣議決定され、1月28日、国から知事、県議会議長、人事委員会委員長宛てに地方公務員の給与について、平成24年度から行われている国家公務員の給与減額支給措置を踏まえ、各地方公共団体において速やかに国に準じて必要な措置を講ずるよう要請が行われました。  これは、東日本大震災を契機として、防災・減災事業に積極的に取り組むとともに、長引く景気の低迷を受け、一層の地域経済の活性化を図ることが喫緊の課題となっており、こうした地域の課題に迅速かつ的確に対応するため、当面の対応策として、平成25年度に限り緊急に要請されたものであります。  国からの要請に至る過程では、1月15日に行われた国と地方の協議の場において、麻生財務大臣から、地方公務員給与について、平成25年度予算編成に当たり、国と同様に7.8%削減するよう要請が行われ、これに対して、全国知事会などからは、地方はこれまで2兆円を超える独自の給与カットを実施し、かつ国の6倍も定員削減を行ってきた実績を十分に評価するべき、地方公務員の給与削減で地方交付税の削減を一方的に行うことは問題であるなどの主張がなされたと聞いております。  そして、その後の調整は総務大臣に委ねられ、会議の最後には、新藤総務大臣から、地方の意見を十分に伺い、丁寧に進めていくとの発言があったと聞いております。  本県においても、こうした国の動きに対して、1月15日と16日の両日、溝口知事と原前議長は、平成25年度予算編成に向けた国への提案・要望活動において、1つ、地方の実態を考慮するとともに、交付税の削減は財政力の弱い自治体に与える影響が大きいことから、一方的な交付税の削減を行わないこと、2つ、地方公務員の給与については、それぞれの団体において、住民の理解と納得が得られるよう、自主的な取り組みを進めながら適切に対応することが必要であること、3つ、島根県においては、平成15年度から特例減額を実施するなど、県財政の健全化に努力してきたことの3点の主張を行ったところであります。  こうした経過を踏まえ、先ほども申し上げた今回の国からの要請に至ったわけでありますが、7月から職員の給与を減額することを判断された知事のお考えをお伺いをいたします。  次に、今後の国への対応を伺います。  国が、地方と一丸となってあらゆる努力を結集して取り組もうとしている日本の再生は、現下の最大の使命であります。  しかしながら、今回の国が地方に対して職員の給与減額を要請した手法は、地方との十分な協議を経ないまま、これまでの地方の行財政改革の努力を適切に評価することなく、国家公務員の給与減額支給措置に準じて地方公務員の給与の削減を求めるとともに、それを反映して地方交付税を削減したことなど、多くの課題を残すものであります。  知事もこれまで、みずから、あるいは全国知事会を通じて、今回のような手法での地方公務員給与の減額や地方交付税の削減が行われることのないよう、国への働きかけを行われてきました。  そこで、知事は国に対して、今後どのような対応を求めていくお考えなのかお伺いをいたします。  次に、職員給与の特例減額によって生じる財源の活用についてであります。  今回の特例減額により、約30億円の財源が生じると聞いておりますが、この財源をどのように活用していくかについては、よく考えていく必要があると思います。防災対策や地域活性化など、現在県が抱えている喫緊の課題に迅速に対応する趣旨で、今年度内に活用するということもあるでしょうし、一方で基金に積み立てて県内の経済動向などを見きわめた上で、今後必要となる対策に活用していくといったことも考えられます。  そこで、この給与の特例減額による財源について、どういった時期にどのような事業に活用していくお考えなのか伺います。  最後に、医師等の給与の減額の取り扱いについて伺います。  今回の給与の減額については、県立病院や島根あさひ社会復帰促進センター診療所等に勤務する医師等の一部職員は減額の対象外との説明を受けております。地域の医療の確保は、県民が安心して生活していくための基盤となるものであります。一方、良質な医療の提供に必要な医師や看護師を始めとする医療従事者の確保は困難な状況にあり、全国的にも大きな課題となっております。  島根県においても、医療従事者の確保は喫緊の課題であり、これまでもさまざまな取り組みが、県、市町村、大学、医療機関、それぞれの地域などで積極的に行われてきたと理解をしております。  このように、医師等の職員の確保が困難な現状において、医療の現場で働く職員については給与を減額しないということに至ったと思いますが、知事のお考えをお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴まことにありがとうございました。(拍手) 3: ◯議長五百川純寿) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 4: ◯知事溝口善兵衛) 絲原議員の御質問にお答えをいたします。  最初の質問は、出雲大社本殿遷座祭に参列し、どのような感想を持ったかという御質問であります。  この本殿遷座祭は、5月10日の夜、厳粛な空気の中、厳かにとり行われました。こうしたいにしえからの祭事が連綿として受け継がれていることに、深い感銘を受けました。私も、この本殿遷座祭に県内外の多くの皆様とともに参列をさせていただいたこの御縁に深く感謝をするとともに、今般の大遷宮に向けまして、出雲大社の皆様、地元の皆様など多くの関係の方々がなされてこられた御尽力に対しまして、深く敬意を表する次第であります。  この大遷宮のように、島根の中には、長い歴史の中で受け継がれてきた伝統でありますとか、あるいは文化が数多くあるわけでございます。私どもは、こうしたものを今後も後世に伝えていく努力をしていかなければならないということを、改めて感じた次第でございます。  次に、島根の知名度アップや継続的な誘客活動、地域づくりをどのように進めていくのかという御質問がありました。  このたびの出雲大社の遷宮や昨年の古事記編さん1300年などを一つの機にいたしまして、県内外で日本の成り立ちというものがどういうものであったのかとか、あるいは古代出雲の世界はどんなふうであったのかとか、いろんな関心をお持ちになる方が非常にふえておるように思います。こうした流れの中で、いにしえから受け継がれてきた島根の伝統文化、歴史など、島根の魅力を県内外の方によく知っていただくということが大変大事であります。そのために、情報発信につきましては、例えば御縁や神々といった島根ならではの魅力を端的にあらわしたキーワードなどを積極的に活用していくということでございます。  例えば、7月から首都圏を対象に御縁をテーマにしたイメージキャンペーンを実施をすることとなっておりますし、県の観光関係では、フェイスブックなども活用しまして、口コミによる話題提供なども行ってきておるところであります。  また、誘客や地域魅力づくりにつきましては、議員がお触れになりましたように、島根の中には縁結びでありますとか神話でありますとか、あるいは石見神楽、あるいは隠岐のジオパークなど、各地に歴史、文化、自然、島根ならではのものがたくさんあるわけでございます。これらを生かした旅行商品づくり等を関係団体と連携して継続的に推進をしていく考えであります。  また、観光客の方々に、県内各地の観光地を周遊してもらうための取り組み、あるいはおもてなしの対策も引き続き行っていかなければならないと思います。議員もお触れになりましたけれども、出雲大社に来られる方々、神門通りには観光の案内所としておもてなしステーションというのがありまして、そこで県内全域の観光情報を提供するとか、観光客の方もそこで県内の様子を見ていかれる。これは一例でございますけども、そういうことを各地で行っていきたいと思いますし、あるいは県内の観光スポットを結ぶ周遊バスの運行であります。例えば、出雲大社と石見銀山の直行バスでありますとか、あるいは松江の近辺でありますと、えびすご縁バスというのを走らせておるわけでありますが、JRの松江駅、足立美術館、美保神社、玉造温泉など、そうした周遊をしていく。  それから、おもてなしにつきましては、子どもたちに神話の世界を知ってもらうために、本などを配付をしたり、学校の中でもいろいろ神話の世界について教えていただくということも行っておりますし、観光業者の方々におもてなし関係の資料を配付する、研修会を開く、こうしたものも引き続き行っていきたいというふうに考えております。  こうした取り組みを地道に粘り強く続けまして、観光客の方々の満足度を高め、そして多くの方々に何度も島根においでいただくよう努めていきたいというふうに考えております。  次に、攻めの農林水産業に関連しまして、議員が御指摘になりましたように、農水省は農業の生産現場の強化対策として、現在あります中山間地域直接支払制度でありますとか、戸別所得補償制度などを見直して、新しい日本型直接支払いの制度、あるいは担い手総合支援などを創設すべく検討を行っておられるわけであります。  これらに対する県の対応でありますけども、島根には、中山間地域、あるいは離島等、小規模農家の方も多いわけでありますし、条件不利地もたくさんあるわけであります。そうした意味で、国の新制度をこうした島根の実情に合ったものにしていただかなければならないというふうに考えておりまして、そういう中で、将来的に、島根の農業、農村の維持が展望できるようなものにしていただきたいということであります。  このため、県としましては、先般行いました国への重点要望におきまして、新制度を地域の実情に沿った制度にされるよう、農林水産大臣を始め関係者に要請をしたところであります。  その要請の具体的内容としては、以下のようなものであります。  例えば、現在あります支援水準の拡充、強化を行うこと。あるいは、そうした制度はいろんな事務作業が要るわけでありますけども、地域や農家の方々の事務負担を軽減すること。あるいは、制度の対象となる担い手の要件を地域の実情に即して柔軟な運用をすること。あるいは、農業者が将来のビジョンを描けるような安定した制度にしてほしいといったことを要請をしておるわけであります。  今後も国の動向をよく注視しつつ、重点要望を含むさまざまな機会を捉えまして、島根県の実情をよく説明をし、新制度が地域の実情に配慮された制度となるよう、引き続き働きかけていきたいというふうに考えております。  次に、職員給与減額について、4点の御質問がありました。  第1点目は、7月から県職員の給与を減額する判断をした考えについて問うという質問であります。  本年1月、国から地方公共団体に対し、国家公務員の給与減額措置に準じて地方公務員給与を減額するよう要請があったわけであります。国の要請に対しまして、地方側からは、島根県を含めまして、国の一方的な要請は適切でないという意見が多く出され、国と地方との間で種々やりとりがありました。その結果、国におきましては、一定の調整を図ることとされたわけであります。  例えば、給与の削減の実施時期を3カ月おくらせて、7月から来年3月末までというふうにしております。それから、地方交付税の算定において、それぞれの地方団体の過去の行革努力を反映するといったような調整も図られたわけであります。  そして、地方交付税法が成立した4月の段階で、知事会など地方六団体が地方公務員給与に関しまして、国に対して一定の申し入れをしたわけでありますが、新藤総務大臣からは次のような説明がありました。1つは、今回の措置は25年度に限って臨時、異例に国に準じた措置を緊急にお願いしているものであること。2番目は、地方公務員給与の今後のあり方については、国と地方とで検討する場を設け、地方の意見を聞きながら検討すること。こうした点を総合的に勘案し、また議員もお触れになりましたけれども、例えば県立病院の医師、看護師さんなどは減額の対象としないなど、島根県の実情にも配意しながら、条例案にありますように、一定の給与減額を行うこととしたものでありますので、御理解を賜りますようお願い申し上げます。  次に、国に対して今後どのような対応を求めていくのかという御質問であります。  議員がお触れになりましたように、1月そして5月、重点要望が2回、今年に入りましてありましたが、議長とともに、国に対しましては、地方公務員給与については地方自治体の人事委員会の勧告を踏まえ、それぞれ自主的に決定されるものであり、一方的な地方交付税の削減を行わないよう要望したところであります。  また、最近になりましても、たまたま機会がありまして、先週2度、新藤総務大臣にお会いすることがありましたが、その機会にも、私から直接、島根県の考えをお伝えをしておるところでございます。  今後も、いろんな場面を活用しながら、あるいは知事会などと一緒になりまして、国に対して適切な対応を求めていく考えであります。  第3の質問は、給与減額による財源の使途と歳出予算化の時期についての御質問であります。  国の要請では、防災・減災事業や一層の地域経済の活性化に取り組むように財源を活用するということが伝えられておりますけれども、私どもとしては、今回の財源につきましては、防災・減災対策など、安全・安心な県民生活の確保を通じ、経済の活性化に活用していく考えであります。  このための補正予算案につきましては、9月の定例議会に提案できるよう具体的に検討してまいります。その際、事業の円滑な執行などにも配意をいたしまして、財源の一部を一旦基金に積み立てた上で、来年度当初予算で歳出予算化することも含めまして、検討していきたいと考えておるところであります。  4番目の質問は、医師などの職員に対する減額を対象外としたということについての御質問であります。  この点につきましては、島根におきましては、県民に適切な医療を提供するためには、医師、看護師を始めとした医療従事者の確保が最も重要な課題であります。そういう観点から、島根県では、島根に勤務するお医者さんや看護師の方々などに奨学金を貸与して、島根にお勤めになれば、奨学金の返済は結構ですといったような制度も既に行っておるわけでございます。そういう中で、給与の取り扱いについても、減額をしないという方針を決めたものでありますので、よろしく御理解のほど、お願いを申し上げます。  私からのお答えは以上であります。 5: ◯議長五百川純寿) 石原議員。  〔石原真一議員登壇、拍手〕 6: ◯石原真一議員 私からは、地方と都会の格差が拡大しかねない社会資本整備のあり方、また在宅介護の流れになってしまった介護保険制度、救急医が不在になることにより直面をする松江赤十字病院の救命救急センターの問題について質問をいたします。  まず最初に、社会資本整備のあり方について知事に伺います。  国土強靱化の名称については、連立与党内にもさまざまな意見があり、公共事業のばらまきとのイメージを和らげるため、防災、減災等に資する国土強靱化基本法案として今国会に議員立法として提案されております。  ところで、道路特定財源の一般財源化が小泉内閣で閣議決定され、その後、暫定税率の廃止も含めた見直し論議もありましたが、全国の知事はもちろん地方からは異論が圧倒的に多く、見直しはされず、今日に至っている経緯があります。地方にとっては当然のことであります。もともとこの議論は、地方には無駄な道路が多い、地方の高速道路建設あるいは国道の整備は見直したらどうかという都会視点から始まった議論でありました。ネーミングは別にして、社会資本の整備は国民、島根県民の共有の財産として適切に行われるべきであり、その意味では、ふるさと島根を含む国土の強靱化が問題であると切り捨てることは適切と言えません。  しかし、一方でまた、都会偏重の議論になってしまうと懸念するのは私だけでしょうか。50年前の東京オリンピックの開催に合わせ、東京の高速道路は集中的に整備が進められました。そして、昨年の笹子トンネル事故の発生で経年劣化が進んだ道路の補修、改修が強く求められるようになり、結果として、地方の道路整備速度が遅くなり、地方と都会の格差がさらに広がっていくことになるのではないか。このところ、しきりに耳にし出したのが、東京大改造なる言葉であります。政府がお札を刷って、東京がそれを使う需要を生み出すとは、最近のテレビ出演での東京都知事の発言であります。これ以上の道路整備は必要でないとまで言い切っていた猪瀬知事が、東京の道路網の見直しを語ります。その結果、一層の格差拡大を心配するわけであります。  知事は、東京には多くの人が住んでいる。どうしてもそちらの意見が大勢を占め、県民を代表して発信してもなかなか十分な理解が得られないのも現実だと難しい心境を議会の場でも語っておられます。知事の心情には私も同感ではありますが、耐えがたきを耐えてならないのも政治であります。今後の社会資本の整備によっては、ますます地方と都会の格差は広がってしまい、東京一極集中が加速しかねません。同様の所見を持っておられるのかお尋ねをいたします。  ナショナルミニマムという言葉がしばしば使われます。国が国民に対して保障する最低限度のことを指しております。要は、日本のどこに住んでいても同等の生活を保障されるということであります。社会資本もあれば、福祉、教育など全ての分野で言えることでありますが、社会資本に絞れば、どのレベルのことなのか、それも当然、時代によって変化いたします。  道路はもちろん、下水道、かつては鉄道線路もそうであったはずであります。新幹線はどうか、航空路線をどう位置づけるかなど、判断が分かれるものもありますが、ナショナルミニマムについて、知事はどのように考えているのですか。  山陰道については、島根県分は、前年度比54%増の227億円が確保され、県民の悲願である早期全線開通に向けて前進をしておりますが、福光江津間、益田山口県境は未着手であります。その一方で、東京日本橋では、橋の上につくられた首都高速道路が景観上好ましくないとつけかえ論議が依然として消えておりません。日本橋の景観を東京五輪前に戻したいとする思い自体を否定するものではありませんが、山陰道を始め地方では全線が開通していない高速道路も少なくありません。日本橋の場合、地下につけかえる案のようですが、その費用は6,000億円から7,000億円と試算されております。道路はナショナルミニマムでありますが、景観もナショナルミニマムであるとするのは、余りにも乱暴過ぎる議論であります。優先順位の物差しはナショナルミニマムであるかどうかであってしかるべきであります。  知事自身は、この日本橋の道路つけかえについてどのような見解を持っておられるのか伺います。  次に、介護保険制度について伺います。  介護保険制度がスタートしたのは13年前の2000年であります。この制度は、当初40歳以上の国民に保険料の負担を求めることからさまざまな議論がありましたが、日本の今日の繁栄を築いた高齢者のサポートを、家族から社会全体で支えようということで国民の理解を求めた経緯があります。それまでは、親の面倒は子がすべきという日本社会の家族観から、家族の負担、とりわけ女性の負担が大きかった高齢者介護を、社会全体で支えるということで始まったのが介護保険制度であります。  都道府県や介護保険を運営する自治体、あるいは広域連合は保険料が改定となる3年ごとに介護保険事業計画を策定しますが、現在は5期を数えております。この間に、大きく変わったことがあります。それは、国が施設介護から在宅介護へ大きくかじを切ったことであります。介護を必要とする高齢者は年々ふえ続け、それに伴って保険料は上昇、国、自治体の社会保障費もふえ続けております。さらに、人口構成で大きく膨らむ団塊世代が介護を必要とする現実が目前に迫っていることを考えれば、無策であってはなりません。  しかし、在宅介護の呼びかけは、家族介護の社会風潮の流れを復活させ、老老介護を始め、家族の精神的負担を重くしつつあります。介護が必要な親と暮らす40歳から60歳の中高年のうち、男性の13.4%、女性の27.6%が、介護休暇ではなく、介護離職を経験しているとの調査結果すらあります。  昨年11月議会で、団塊世代に待ち受ける介護への将来不安について質問しましたが、さらに家族介護から社会全体での介護支援に移行したはずの介護保険制度が再び在宅介護の流れになり、家族に負担を求める先祖返りの制度になってしまいつつあるように思えてなりません。  そこでまず、知事に、介護保険制度が直面する課題についてどのような考えを持っておられるのかお伺いし、具体的な問題について健康福祉部長に質問をいたします。  国は、昨年4月から、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、いわゆる24時間地域巡回型サービスを在宅介護支援の主要施策として打ち出し、全国の自治体、広域連合に実施を促していますが、導入に踏み切ったのは、ことし3月末現在、全国で120自治体、7.6%にとどまっております。  島根県は、10県ある実施ゼロのうちの1県であります。中山間地域では、移動時間の問題や夜間勤務の介護スタッフの確保など課題も少なくありませんが、施設介護から在宅介護にシフトがえするなら、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は制度として定着させる必要があります。その現状について、どのような認識を持っておられるのかお尋ねをいたします。  これまで高齢者向けの賃貸住宅として、高齢者専用賃貸住宅、高齢者向け優良賃貸住宅、いわゆる高専賃、高優賃等の賃貸住宅が供給されてきましたが、高齢者住まい法の改正により、平成23年10月からは、それまでの高専賃、高優賃を廃止、新たにサービス付き高齢者向け住宅として建築が進められており、県内に22棟、783戸のサービス付き高齢者向け住宅が登録されております。  サービス付き高齢者向け住宅、俗にサ高住は、高齢者が安心して生活できる住環境でなければならないことから、安否確認サービスと生活相談のサービスが事業者には求められていますが、事業の運営はそれだけでなく、食事提供サービス、入浴等の介護サービス、洗濯、掃除等の家事援助サービス、あるいは身体介護などで、介護保険制度上では在宅サービスですが、受けている日々のサービスが特養などの施設系サービスか在宅サービスなのか、利用者や家族は区別が明確でない現実もあります。  加えて、サ高住には、訪問介護サービスのステーションが併設されているのが一般的であります。事業者は、家賃、食事、共益費など定額負担に加えて、要介護度に応じた介護サービスを行い、その介護報酬と合算して運営見込みを立てております。このサービス付き高齢者向け住宅とほぼ同様の施設である有料老人ホームを加えますと、83施設、実に2,275室という状況であります。特別養護老人ホーム、特養の定員4,931人の約半分に達しております。  特養への入所を希望しながら待機している高齢者は、県内でことし1月現在6,383人で、幾分減少傾向にあるようですが、それはサービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホームといった在宅系施設が待機者をふやさない機能と役割を果たしているからだとも言えますが、健康福祉部長にまずは見解を求めたいと思います。  一方で、課題もあります。こうした施設は、月額負担が15万円を超えるものも少なくなく、これに介護サービスの自己負担分を加えると、15万円から18万円の負担にもなります。最近開設されたものは10万円を切るものもあり、介護サービスの自己負担を加えれば、12万円から13万円の負担でという施設もありますが、それでも特養の多床室と比べるとはるかに高いわけであります。負担がネックとなり、やむを得ず自宅待機となっている高齢者も少なくないのではないかと思われますが、いかがでしょうか。  特養も入居者の個性やプライバシーを確保するという観点からユニット方式の個室が導入され、これまで県内では、1,225床が設けられていますが、多床室に比べると、所得のそれぞれの段階で1万5,000円から5万円高くなり、入所者や家族の負担が大きくなっております。  国の方針とはいえ、現場からは、要介護度4から5の高齢者や家族にとっては、負担等を考えると、ユニットだけでなく、多床室を望む声も少なくありません。そうした声にはどのように耳を傾けるのですか。  特養入所を希望しながら待機となっている高齢者は、先ほども述べましたが、約6,300人であります。サービス付き高齢者住宅など、運営実態は施設系の在宅介護施設が待機者の増加の歯どめになっているのは間違いありません。しかし、問題は負担であります。年金支給額は月額16万円前後であります。介護サービスを利用する世代の高齢者は専業主婦が多く、どちらか一方が高齢者施設に入所した場合、サービス付き高齢者住宅では安くて13万円前後、特養のユニット型個室で9万5,000円の負担であります。この負担額では、家に残った高齢者が生活に困ることから、入所を諦めることも少なくありません。所得が多い高齢世帯はサービスを利用できても、年金受給額が平均額の高齢者は家での在宅介護の選択しかないことになります。社会全体で支えるといった介護保険制度ですが、所得が高い高齢者だけがその対象となっている現実がじわじわ訪れようとしております。こうした問題にどう対応するのですか。  制度上は賃貸住宅であっても、実態は施設とほぼ同様の運営がなされているサービス付き高齢者向け住宅は、この2年では422室ふえ、特別養護老人ホームの172室の2.5倍に達しております。所得の低い高齢者は利用しにくいという課題はありますが、施設入所を希望する高齢者がどう安心して過ごすかという生活選択の幅を持ってもらうことには大いに役立っております。  サービス付き高齢者向け住宅の国の建築助成制度は27年までとなっておりますが、県は期限を切っておりません。高齢者が安心感を持って暮らしてもらうためには、適切にサービス付き高齢者向け住宅を供給していく必要もあると思われますが、県独自の制度の維持等を含め、土木部長の考えをお尋ねをいたします。  最後に、松江赤十字病院の救命救急センターの医師が退職し、後任のめどが立たない問題に移ります。  これは、救命救急センターに勤務する医師が今月末で退職、後任の医師確保のめどが立たないことから直面しているわけですが、松江圏域に住む人にとっては命にかかわる深刻な問題であります。もちろんこの問題は突然抱えたわけではありません。センターは2004年に開設され、2007年には担当医師は5人いましたが、次々にやめ、昨年7月からは1人となっておりました。
     その原因の一つが、救急車搬送ではなく、みずからや家族などの自家用車運転で救命救急センターに来院するウオークインと称される患者、いわゆるコンビニ受診であります。もちろんその中には、入院での治療が必要な患者もいますが、年間1万6,000人のウオークイン患者のうち、軽症で帰宅できる患者は実に85%に達しております。これが医師の過度の負担となり、救急医としてのモチベーションの低下を招いたとも言われております。  7月からは、他の診療科の医師が交代で診療を担ってセンターを維持する方針でありますが、これは現状でも同じであります。私ごとでありますが、昨年10月に不注意で救急搬送され、その後、手術を受けましたが、救命救急センターと他診療科との連携はしっかりとれており、初期診療、専門医による確認など、救急医がいないことによる混乱はもちろんなく、患者として何ひとつ不安のない対応でありました。院長を始め病院側の、松江、安来、隠岐地域をカバーするセンターとして維持する思いが伝わってまいりました。  一方で、冷静な判断も必要であります。圏域の救急医療を担っていることから、センター入院の場合、診療報酬に救命救急入院料の加算が認められ、国、県から財政支援も行っております。  センター設置には、救急医の配置など一定の基準も必要でありますが、それはどんな基準で、病院は今後どう対応するのか伺います。  病院は、医師の負担になるコンビニ受診を減らすため、時間外の軽症患者には時間外診察費を求め、6月からは、それまでより1.050円引き上げて5,250円にするなどの負担軽減対策を講じていますが、この対策だけでは十分な成果はあらわれておりません。  センターはありませんが、コンビニ受診の悩みは松江市立病院も同様であり、市はその打開策として、利用低迷で2007年から閉鎖になっていた休日診療所を近く急患センターとして再開を決めております。医師を派遣する医師会と詰めの協議が行われていますが、この診療所では軽症患者と救急患者の症状の確認を行い、症状が軽い場合、開業医での受診を促したり、応急処置をし、重い症状の患者は市立病院や松江日赤に回ってもらうことで、両病院の救急医療現場の負担軽減を図るシステムを構築する狙いであります。その効果に期待するものですが、設置場所は市立病院の近くであり、松江日赤救命救急センターの負担軽減には多くを望めないとする声もあります。センター指定は島根県がしている立場からも、コンビニ受診が少なくなるような呼びかけなど、より関与を深めていかなければならないと考えますが、健康福祉部長にお尋ねをして、私の一般質問を終わります。(拍手) 7: ◯議長五百川純寿) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 8: ◯知事溝口善兵衛) 石原議員の御質問にお答えを申し上げます。  最初の質問は、今後の社会資本整備によっては、地方と都会の格差がますます広がり、東京一極集中が加速しかねないのではないかと。これについての所見を問うと、こういう質問でございました。  私も同様な関心を持っております。戦後の日本の発展は、東京など太平洋側の大都市を中心として発展が進み、そのためにも、大都市を中心にインフラの整備などが行われてきたわけであります。その結果、日本の高度成長が実現をされたという面もありますけども、東京など大都市と地方部の格差がひどいことになったわけであります。  私は、知事就任のときから申し上げておりますけども、分権も大事だけども、地方分散というほうがもっと大事なんだということをずっと言っております。やはり戦後の特殊な発展があったわけでありますが、そういう中で、地方では人口が減る。若い人たちは都市へ出る。それによってまた人口が減るという相乗効果で地方の疲弊が進んでおるわけであります。  さらにさかのぼりますと、明治になって近代化が始まる頃は、鳥取、島根両県が1県だったときがありますけども、そのころの人口は100万人ぐらいで、東京府が100万人ちょっとぐらいで大きな差はなかったわけであります。日本の近代化、特に工業化が進む中で、大都市への集中が起こったわけであります。そういうものをそろそろ是正をしていかなければならない時期に来ておるということでございます。そういう意味で、やはり高速道路網等の社会的なインフラは、その地域の経済の発展にとって欠くことのできないものであります。そういう意味で、社会資本インフラの整備につきましては、おくれているところ、まだミッシングリンクで全国の道路網と通じていないところ、そこら辺はやはり重点的にやるべきだということを、引き続き強く言っていかなければならないというふうに考えておるところであります。  それに関連して、ナショナルミニマムをどういうふうに考えているのかということであります。  公共サービスについてのナショナルミニマムということがあるわけでありますが、やはり基礎的な行政によるサービスの提供、それはやはり地域間で大きな格差があってはいけないというふうに思います。その一つが社会保障であります。あるいは福祉と言っていいかと思いますけども、生活の安定、お困りになった方々の支援、高齢者の支援、そういうものについてはやはり全国的な仕組みが、システムがあるわけでございます。それである程度は対応しておると思います。教育も、義務教育の課程においては、そういうものが相当程度、これは明治以来ずっと行われておりますし、戦後もそうであります。  そして、産業発展ということになると、それぞれの地域で努力をしなければなりませんけれども、努力だけでは産業発展というのはできないわけでありまして、やはり大きなマーケットとの連環というものがないと、産業発展は難しいわけであります。そういう意味で、高速道路といったものもそういう基礎的なサービスに入るだろうというふうに思います。  ただそうしたナショナルミニマムは、経済の状況、あるいはそういう施設、あるいはインフラの普及度合いによっても変わってくるわけでございます。あるいは、国の経済成長、そうしたものにも大きく依存をしておりますけれども、道路などについては、これは明々白々なわけであります。大きな差があるわけでございます。  そういう意味で、こういう問題については、国全体の立場から、歴史的な経過も踏まえて対応してもらいたいというのが私の考えでございます。そういうことを繰り返し、いろんな形で言ってきておるということであります。  これに関連して、東京などでは、日本橋の上に高速道路があって、景観だとか、あるいは安全の問題だとかいろんなことで、地下にやるべき、高速道路を移すべきではないかと。そうすると、数千億円単位で経費がかかるわけでございます。それは東京都におかれて、首都高速の老朽化でありますとか、あるいは首都圏直下型地震への対応だとか、あるいは景観ということもありますが、いろんな観点から主張されているんだろうと思いますが、地方におきましては、いわゆるミッシングリンク、全国の高速道路網と通じないところが幾つか残っているわけでございます。そういうところに適切な対応を国に求めていくということは、私どもがやらなければならない大きな課題だというふうに考えております。  それから次は、介護保険制度についての御質問でございます。  直面する問題についてどういうふうに考えているかという御質問でございますが、家庭レベルにおきましては2つの問題があるように思います。1つは、単身や夫婦のみの高齢者世帯が増加をしておりまして、そういう家庭で介護が必要となると、家族で支えるということが困難になってきておるということが1つ。それから、これはいいことなんですけども、高齢者、寿命が非常に長くなっております。いわゆる75歳以上の後期高齢者もふえておるわけでございますが、そういう中で、高齢者の方々の中で、認知症高齢者などもふえてくるわけでございます。そうしますと、医療ニーズが高くなって、介護の費用あるいは医療費が非常に大きくなっていくわけでございます。そうすると、今度は国の制度としては、そういうコストの増加に伴って、国全体としての介護の体制、医療の体制を確保するためにはいろんな工夫が必要となってきているというふうに思います。  そういう意味におきまして、国で今考えられておりますのは、従来の施設サービスだけでなく、在宅医療の充実、あるいは訪問看護、訪問介護など、在宅サービスの利用をふやして、地域で支える体制が必要ではないかということが基本にあるようであります。そういうことを受けまして、昨年の4月に、介護保険法の改正において、地域全体で高齢者を支える体制を強化するために、1番目には、高齢者が地域で自立した生活を営めるよう、医療、介護等サービスが切れ目なく提供される地域包括ケアシステムを構築すること。そして、2番目には、将来にわたって安定した持続可能な制度を実現するというものが打ち出されたというふうに理解をしております。  県としましては、こうした考えに基づき、地域の実情に応じた地域包括ケアシステムがそれぞれの地域でできるだけ早く構築されるよう、市町村と一緒になって取り組んでいく考えであります。以上であります。 9: ◯議長五百川純寿) 原健康福祉部長。  〔原健康福祉部長登壇〕 10: ◯健康福祉部長原仁史) 私からは、介護保険制度関係と救命救急センター関係の御質問にお答えします。  初めに、介護保険制度に関する5項目の質問にお答えいたします。  まず、定期巡回・随時対応サービスの現状についてでございます。  このサービスは、一定の介護報酬の範囲内で頻繁な訪問が必要なため、利用者が点在し、移動に時間がかかる本県のような中山間地域等が多いところにありましては、対応が難しく、全国的にも都市部を中心に導入が進んでいます。  島根県においては、平成25年度から、松江圏域、浜田圏域で実施が予定されておりまして、現在、事業者の公募も始まっているところであります。  次に、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの機能と役割についてお答えします。  このところ増加していますサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームは、住まいとして整備されているものでございます。このうち何らかの介護サービスが提供されているところにつきましては、介護を必要としている高齢者の選択肢の一つになっているというふうに考えられます。  一方、平成18年以降増加傾向にございました特別養護老人ホームの入所申込者数は、ことし1月の調査では減少に転じたところです。  こうしたことから、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームは、一定程度、特別養護老人ホーム待機者の受け皿になっているのではないかというふうに考えております。  次に、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームの入居に当たっての費用負担についてであります。  特別養護老人ホームの入所申込者につきましては、要介護度などその方の置かれている状況や要望されている施設の状況、例えば多床室かユニット型個室か、あるいは自宅からの距離はどうかということなどでございますが、こうしたことはさまざまなであるというふうに思われます。その中には、経済的な理由から、特別養護老人ホームに絞って自宅で待機されている方もあるのではないかというふうに思われます。  次に、特別養護老人ホームのユニット型個室と多床室についてであります。  近年、個人の尊厳の保持、個々のライフスタイルの尊重などの観点から、家庭に近い環境のもとで質の高い介護が受けられるユニットケアが求められております。そのため、特別養護老人ホームにつきましては、ユニット型の整備を進めてきておりますが、一方で、議員御指摘のとおり、費用負担の問題から、経済的な理由で多床室を望む声があることも承知しております。したがって、利用者がユニット型、多床室を含めて、幅広い選択ができる環境を整えていくことが必要であるというふうに考えております。  昨年12月に条例で定めました特別養護老人ホームの基準におきましては、保険者の判断により、多床室の整備も可能としておりまして、今後、地域のニーズや施設の現状を踏まえて整備されていくものと考えております。  介護保険の質問の最後に、介護保険における所得への対応についてであります。  介護保険制度におきましては、所得の低い方に対する負担軽減の仕組みとして、例えば利用者の1割負担が一定の金額を超えた場合に超えた部分が払い戻される制度、あるいは特別養護老人ホームなどの入所者の食費や居住費の一部を軽減する補足給付の制度、さらには社会福祉法人等が利用者負担の一部を軽減する制度などがございまして、所得が高い高齢者だけが入所できるようなことにはならないものというふうに考えております。  現在、国におきまして、社会保障と税の一体改革において介護保険制度につきましても検討課題とされております。その中で、利用者負担のあり方や給付の重点化なども含めた介護サービスの効率化、低所得者を始めとする保険料の負担の増大の抑制などが議論されています。  県におきましては、国の動向を注視しつつ、中国知事会等を通じて、介護保険における低所得者への負担軽減制度について抜本的な対策を検討するよう国に要望を行っているところでございます。  次に、松江赤十字病院の救命救急センターに関する2項目の質問にお答えいたします。  まず、救命救急センターの設置に係る基準と松江赤十字病院の対応についてであります。  松江赤十字病院は、重篤な救急患者に対応する3次救急を担う救命救急センターでございます。1次・2次救急医療機関の後方病院として、他の医療機関からの救急患者を24時間体制で受け入れる機能を有する病院でございます。  救命救急センターの設置基準としましては、救急患者のための専用病床や集中治療室、いわゆるICUを有すること。3次救急医療に精通した専任の医師を適当数有すること。内科、外科、循環器科、脳神経外科等の各診療科の医師を確保し、緊急手術等が可能な体制を有することなどが求められております。  松江赤十字病院は、救急医が不在となる今月以降は、院内の救急専門医の資格を持っている医師を中心に、全診療科で救急患者への対応体制をとることにより、引き続き救命救急センターの機能を維持する方針と聞いております。同時に、救急医の確保に向け、系列病院や大学医学部に対しまして、引き続き派遣要請を行っていくとのことでございます。  次に、救命救急センターの負担軽減についてであります。  議員御指摘のとおり、松江赤十字病院の救急外来を受診される患者の約8割は軽症患者でございます。こうした軽症患者に対応するためには、松江市が設置を検討されている休日夜間急患センターの役割が極めて重要であります。このため昨年6月、松江保健所が呼びかけて設置した救急医療を担う医療機関、医師会及び松江市をメンバーとした救急医療に関する検討会議を引き続き開催し、関係機関の役割分担を進めてまいります。  また、地域住民に対しましては、かかりつけ医を持ち、発熱などの症状が見られたら、早目に相談、受診するよう啓発を進めていくことも必要です。  したがいまして、公民館における健康づくり活動や医療・介護に関するイベントなどの場において、住民に救急医療の現状を説明し、かかりつけ医を持つよう働きかけを行うなど、市と保健所が一層連携して取り組んでまいります。 11: ◯議長五百川純寿) 宮川土木部長。  〔宮川土木部長登壇〕 12: ◯土木部長宮川治) 私のほうからは、サービス付き高齢者向け住宅の供給に関する県独自制度の維持等についてお答えをします。  サービス付き高齢者向け住宅を民間事業者が建設する場合は、平成23年度から、国と県がそれぞれの補助制度により支援を行っております。国の制度では、建設費の10分の1を限度として補助をしており、デイサービスなどの生活支援施設を併設する場合にも補助対象としております。一方、県の制度は建設費の5分の1を限度として補助をしており、生活支援施設に対する補助は行っておりません。また、議員御指摘のとおり、制度の期限は設けておりません。  なお、この2年間で建設されたサービス付き高齢者向け住宅は、国の補助を受けたものが234戸、県の補助を受けたものが138戸、いずれの補助も受けていないものが50戸で、合計422戸となっております。  県の住宅政策としましても、こうした制度を通じて、高齢者が安心して生活できる住まいづくりを推進することは重要な課題と認識しております。今後、国の動向などを注視し、高齢者のニーズを的確に把握した上で、健康福祉部とも連携を図り、県独自制度の維持も含め、適切に対応してまいります。以上です。 13: ◯議長五百川純寿) この際しばらく休憩し、午後1時から再開をいたします。        午前11時26分休憩        午後1時3分再開 14: ◯副議長福間賢造) それでは、会議を再開いたします。  引き続いて、一般質問を行います。  園山議員。  〔園山繁議員登壇、拍手〕 15: ◯園山繁議員 遷宮の年にはいろんなことがあります。きょう、テニスの錦織圭は世界ランキング13位、隠岐の海の小結昇進、出雲では琴弥山、これ大鵬の教育係として有名だった瀧見山という人が関取になってから56年ぶりです。この瀧見山というのは、私が生まれた年に十両になった、そういう人でございます。また、11代式守勘太夫、三役格の行司になりました。行司は負け越しはありませんから、もう落ちません。里見香奈さん、女流5冠になりました。神がかりな出雲から風が吹いております。やっぱりこういうときだからこそ、島根県頑張らないけんと思います。  きょうは、大石順教さんという人の言葉を申し上げます。これは、できないのとやらないのを一緒にしてはいかん、こういうことをおっしゃった方でございます。できないというのは克服する能力がないということ、やらないというのは意思がないということ。大石順教さんという方を少し御紹介します。13歳で大阪の山梅楼の芸者になった方でございます。17歳のとき、1905年だと思いますけれども、堀江六人斬り事件というのに巻き込まれて両手を失います。芸者が両手を失えばそれで終わりです。だけど、大石順教というのは、地方にかわったんです。三味は弾けないからうたいにかわったわけです。そして、カナリアが子どもに餌をやっとる姿を見て、口で字を書く、絵を描くということを思いつきます。これで24歳のときに書家となりました。そして、日本書画家、書とか絵を描く山口草平という人と結婚します。子どもを2人もうけて、だけれども、結婚生活は破綻をし、39歳で子ども2人を引き取って東京へ出ます。この方は、自分で更紗絵というのを描いて、この2人の子どもを育てます。子どもが大きくなったとき、45歳で得度をし、そしてこの方は大阪でいおりを結んで、障がい者や婦女子の支援を始めます。80歳でお亡くなりになった、昭和43年にお亡くなりになったけれども、この人の足跡というのは、京都の山科へ行くとわかります。  島根県の職員さん、できません、できません、やりませんがないですか。できない理由をいっぱい言われます。ということはどういうことか。できない理由がわかっとれば、それを克服すればできるということを自分で言っとるんです。ですけれども、できません、できませんと言っとるんでないでしょうか。  いよいよ人口70万人割れがもう目前でございます。私は県勢の衰弱が、どんどんどんどん衰弱しとるように、そういうふうに感じております。1年間に5,000人人口が減っとります。これは、消費額で言うと50億円ずつ減っとる勘定になります。  知事が掲げられる産業の定着によって定住性向を高めていくという、私は政策の方向性は間違いじゃないと思います。ただ、5年先、10年先の島根県の姿が私にはどうしても見えない。この島根県の将来の姿という、そういうことに対して、知事はどのような所感を持っておられますか。  私は、県政の問題というのは、たまたま去年の決算審査のときに、築地松の質問をしました。平成13年から島根県は築地松の景観を守るために、出雲市や斐川町に補助金を打ってました。12年たって、今、出雲平野に築地松のある家はどのぐらいですかと言ったら、平成11年以降調べておらんのでわからないと、そういうふうにおっしゃった。毎年補助金を打っとる。政策の目的があるはずだ。だけども、その進行管理ができてない。お金を出して、それがどのくらい今効果があっとるのか、そういうことに対して職員さんが余り無関心じゃないかと思うんです。  私は、目標を定めて、戦略を立てて戦術を練る、できるものもできらんものもあります。時間がかかるものもあれば、すぐできるものもあります。しかし、ここのところ、ほんなら人口減少を食いとめていくために頑張るぞ、県の職員さんたちが一つの方向を向いて全員がそこへ向かって一生懸命県勢の振興のためにやってるかというと、私はそげだないやに思うんです。  今、県庁の中は、所管病という病気にもうかかっています。これ伝染病みたいになってます。自分が抱えとる目先のことしかやらない。そういうことになってはおりませんか。確かにここに座っとられる幹部の皆さんは、知事さんと同じ価値観を共有して、一緒のとこへ向かっていっとられるかもしれません。だけども、課長あるいはグループリーダーという、そういうラインの幹部職員に本当に知事が見とる、将来を見据えとるそういうところへ向かって、みんなが一気呵成に頑張っとるかというと、私はなかなかそういうふうには思えないのです。  知事さんにそういう認識がありますか。職員さんと自分の考えが一致して、職員が自分について一生懸命仕事してごいとるという実感がありますか。  私は、もうちょんぼし職員さんに、自分の目先の所管じゃなくて、本当にこのことをみんなでやるぞという、そういう意識が欲しいやに思います。  県政のスピード感のなさというのがあります。それは、何が原因か。これは私は安倍総理大臣を見とって、つくづく近ごろ思います。安倍総理大臣は6年間浪人しておられました。だけど、多分、あのぶざまなやめ方をしたときに、常に思っとられたと思います。この次、自分がこの場所を与えられたら、自分だったらこげするぞ。何か場面に当たったときに、今僕がこの立場だったらこうするということをずっと思っとられたと思います。だから、その場所を与えられたときに、いろんなことを即座に、ちいとスピード違反じゃないかと思うこともありますけども、あるいはちょっと暴走じゃないかということもありますけど、だけどやっぱ速いです。  例えば県で、平成21年に海岸のごみの処理をするという法律ができたとき、国土交通省が補助金をくれました。基金に積んで、3年間で海岸のごみの処理をしなさいませという、そういう施策をえっと島根県なんかも国にお願いして、何とかしてほしいということで、予算がつきました。だけれども、せっかく何億円もの予算がついたけれども、執行されたのは、その年もだめ、その次の年もだめ、3年目でした。どげされたか。予算がついたときに、これからどういうことをするかという計画策定だとか、あるいはこれからどういうふうにやっていこうかということで、いたずらに2年間の時間を置かれました。ごみは毎日毎日寄ってきます。だけども、ほとんどこのお金が執行されることはなかったんです。これはどういうことかというと、毎日仕事しとる職員さんが、もし予算ができたら即座にどういうことをやるぞ、あるいは知事が認めてごいたらすぐやるぞという、そういう意識に欠けとったからです。結果的にどうなったか。3年目に請負で、業者さんに海岸のごみ処理を出されました。予算はそれで終わりです。もしそのときに、海岸地域に住んどる住民にNPOでもつくらせるとか、あるいは漁協と行政がタッグを組んで、日々のごみ処理ができるような仕組みをつくっとけば、ずっと今でも、そんな業者さんに何千万円お金出さんでも、ふだん毎日ごみ拾いしとる、そういうことにきちっとお金が出せたはずです。その取り組みは今でも続いとるはずです。だけども、そういうことはありませんでした。  このことは、たまたま一つの例です。環境生活部を責めとるわけでないです。ほかのセクションにも私はいっぱいあると思う。だけども、この一つの原因は、私は島根県発展計画にあると思う。島根県発展計画というものがあって、自分たちが上げた数値が、それを何となくこなしていけば、それで毎日の仕事が終わっとるように思うんです。だけども、この発展計画にないこと、例えば知事が古事記1300年をやらこいと、これ部局横断でやるぞと言うと、職員さんはがっしょがけでやられるわけです。ところが、あの発展計画に書いてあることは、5年とか10年かけてやりゃいいからですよ。だから寝たようなもんです。  知事さん、2期目は、あと一年と9カ月しかない。あと一年9カ月で、この人口減少、毎年毎年5,000人をせめて3,000とか2,000とかの、そういうところが見える、そのぐらいの取り組みをがっしょがけでやっとられるという姿を早こと見せらんと、厳しくなりますよ。私は、ここの場所で評論家的な答弁でなくて、溝口善兵衛、政治家としての思い切った発言を期待します。  2つ目は、観光振興です。  島根県の観光入り込み客は、2,500万だとか2,800万だ言われます。この数は京都市の観光客の数とほぼ一緒です。私も、商工労働部が2,500万だとか600万だとか700万だとかといって言われると、ああそぎゃんもんかなと思っとったんです。ところが、この間、京都へ行きまして、京都の市役所の人が、ことしの観光客の目標は京都は2,500万人だ言われて、えっと思ったんです。何でか。島根県のほうが多いがなと思った。だけど、ように考えてみますと、京都は例えば嵐山なんか行くと、隣の人と肩が当たるぐらい、そのぐらい人がおる。毎日、出雲大社の遷宮みたいです。だけども、それほど島根県来とらんじゃないかなと、そう思いました。  観光庁というのが、ホームページに観光動態調査とか、あるいは外国の観光客の入り込み数をずっと上げております。だけど、島根県の数字はどこを見ても2,500万とは書いてありません。4分の1か5分の1ぐらいの数字です。フランスのタイヤメーカーミシュラン、レストラン、ホテルの格付を行っております。これが旅行や観光ガイドも発行しております。ミシュランは、3つ星というので有名ですけども、これがレッドミシュランというのが食べ物、それでグリーンミシュランというのが、これが観光地です。ですけれども、もう一つあるんです。これが旅行ガイドというやつです。2007年に、国土交通省、国際観光振興機構、国際観光サービスセンターとの連携で、ミシュランが旅行ガイドを出した。島根県は載ってませんでした。ようやく2009年、グリーンミシュラン、ここに島根県が登場します。19カ所。中には足立美術館日本庭園3つ星、出雲大社2つ星、観光地としての松江2つ星、足立美術館2つ星、そういうちゃんとした評価も受けとります。ですけれども、せっかくそれだけの評価があるにもかかわらず、島根県の外国人の観光入り込み客数は47番目です。  私は、ここに問題があると思います。島根県が2,500万だ600万だ言っとる間は、背水の陣がしけません。どんべだにかにどんべだという、そういう意識が、仕事しとる人に出てきません。私は、もうこの水増し数字をやめて、実数できちっと発表する癖をつけらんといけん、そういうふうに思いますけれどもいかがですか。  観光庁が発表しとる観光動態、これについて、改めてここでお示しをいただくと同時に、知事さんには、やっぱり発表の方法をもう一回再考する、そういう姿勢を示してもらいたいなと、そういうふうに思います。  また、外国人観光客をこれからふやすためには、ノウハウが要ります。広島は、今ミシュランがレッドブックをつくったんです。そのぐらい外国人の評価が高いんです。だけども、道路がつながってたった2時間です。そうすると、広島と連携したらどげかなと思います。私は、この際、京都や広島や、そういう先進地、あるいは観光庁との人的交流とか、必要なら内地留学でもいいと思います。そういうことを積極的にやったらどうかなと思いますけど、いかがでしょうか。  また、古事記1300年と銘打った神話のふるさと事業、これは島根の神々の時代から続いとる営みの歴史が本当に価値があって、観光の素材としては十分評価されるよ、成り立つよということを県民に知らしめたスローガン運動としては非常に有効だったと思います。しかし、これらを地域の価値として掘り起こして、それを売っていくためには、まんだまんだ手間と時間がかかると思います。観光を産業として位置づけて、予算執行を付加価値を生み出すための産業投資としていくためには、やはり一話完結ではなくて、もっともっと目的を明確にして、成果の有無についてきちんと進行管理をして、それでどうだったかということを常に検証するということが、僕は大切だと思います。  がいな予算をつぎ込んでやった割には大したことなかったじゃないかという人もあります。うまいことやられたという人もあります。だけども、私は、もうちょっと調査、分析、企画、行動、評価、この5サイクルをもっとやっぱり徹底してやっていく。それで、観光を、これを県の予算執行も産業投資だぞという位置づけをやっていく。それでそのケーススタディーをずっと蓄積していく。どこへどういう金を打てばどういう効果があるんだということを県の担当者がきちっと持つ。そういうことになっていくと、島根県、大きく発展すると思いますが、知事さん、いかがですか。  3点目は、「みのもんたの朝ズバッ!」を見て、びっくりしました。福沢諭吉が危機ですなんていうタイトルでした。日本のお札が危機です。福沢諭吉が危機ですというタイトルでした。それは、コウゾやミツマタが国産ではもうとれんようになった。日本のお札が外国のミツマタやコウゾを使わないけんという、そういう報道でした。  島根県は、数少ないコウゾやミツマタの供給地です。今も生産が続いております。特に、私が住んどる島根半島の西側はその産地です。ですけれども、もう高齢化と従事者の減で危機に瀕しとる。まさにそうだと思います。朝ズバでも出雲市唐川町が出ました。そこで、よく考えてみますと、島根県はユネスコの無形文化遺産に指定されとる石州半紙、人間国宝の安部栄四郎さんが広められた出雲民芸紙、こういうものがありますが、だけれども、唐川にだって実は紙すきをやっとる人があります。あちこちに私はあると思います。それは、やっぱり地域資源で、山間地の現金収入のもとだったと思います。  今、後継ぎがおらんようになっとりますが、知事さんの和紙生産に対する、まず認識というか、所感を聞きたいと思います。  徳島の上勝町、葉っぱビジネス、奥会津の編み組み工芸、きょうは議場ですからかばんを持ってくると叱られますから、かばん持ってきませんでしたけれども、もうすばらしいものをつくっとります。奥会津地方の三島町というのは、人口1,800人、高齢化率は45%、そこの年寄り160人が集まって、今かばんをつくったり、かごをつくったりしております。年商1億円です。平均1人60万円わて稼ぐんです。そうすると、国民年金7万5,000円わてもらって、めおとで15万円で今までは最低生活だったけど、だけどかばんつくって、あるいは物をつくってそれが売れやになったおかげで、月25万円の生活がなる。孫が来ても小遣いがやれるようになった。そういうことでございました。3月16、7日ごろに行ってみました。1メーター30センチ雪が積もっとりましたけど、そこにたくさんの人が来るんです。私は、島根県なら、まっとまっと条件はいいですから、そういう材料はいっぱいあると思います。  柳生家の家訓は、小才は縁に気づかず、中才は縁を生かさず、大才は袖すり合う縁まで生かすという、それが家訓です。島根県職員の皆さん、あなた方は小才ですか中才ですか大才ですか。私は、大才になってもらいたい。  県庁のまずミツマタやコウゾなどの栽培についての現状認識を聞かせてください。国産の紙幣材料のミツマタの価格は30キロ当たり7万8,000円、輸入は1万8,000円ぐらいだと聞いております。もし、今は山林施業者は10万円ぐらいもらわんと採算がとれませんわと言っとりますけど、例えば機械化の支援をしてやったり、あるいは転作で取り組ませたりすれば、案外もっと条件がよくなるかもしれない。そういうふうに考えますけども、農林水産部長、どう考えますか。  私は、島根県のような地域で、周辺部、農山漁村で暮らすには、もちろんそこで農林水産業に専従するのが一番いいかもしれませんけど、現状の採算構造を見ると難しいと思います。だから、農業をやりながら、漁業をやりながら、林業をやりながら、また勤めながらで、半農半Xという考え方は私はいいと思う。だけども、それだけではだめだと。私は、まず3世代同居をさないけんと思う。家の中にきちっとした手間をつくる。子をなして育ててくれるような、そういう一緒に育ててくれるという、まず体制をつくっていかにゃいけん。そして、もう一つは、余録を探さないけんと思う。山がに住んどる者は、そこに住んどるおかげでちょんぼしもうかる。農村に住んどる者は、その農村に住んどるから得られるものがある。海岸べりに住んどる者、私なんかは子どものときは、すぐそこにモズクがあった、ワカメがあった。メノハっていうんですけど、モズクがあった、メノハがとれた、ノリがとれた。それで、別に年間二、三十万円にはなったもんです。だから、多少住宅事情が悪くても、町に住まんこに海岸べりに住むんです。そういうものが必要だと思うんです。  この島根県、あふれるほどの自然があります。豊かな田舎だからこそ、私たちは余録を手にすることができると思います。地域振興部長、島根の余録探しませんか。何だと思います。お尋ねいたします。  最後に、知事さん、これから島根の山林の活用、いろんな視点が必要だと思います。今、確かに木質系のバイオマスだとか、いろんな取り組みが始まろうとしております。私はすごく期待しております。ですけれども、同じように、今のコウゾやミツマタ、それから奥出雲でやっとるおがくず生産のためのナラやクヌギの活用とか、それから備長炭になるウバメガシをもう一回何とか活用さだないかというようなことがいっぱいあると思うんです。そういうことを、ぜひ光を当てて見てもらいたい。そうすると、これが6次産業につながっていくような気がします。  だけれども、6次産業化を進めていくには、じいさん、ばあさんだけの家庭では無理です。また、若い者だけの家庭でも無理です。なぜか。知恵がないから。だから、何とか島根県で3世代同居を推進して、私は世帯構成員をふやして、そして集落やそこの世帯の維持、存続を図っていくということが、農林水産業の振興には一番の大きな特効薬じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。知事さんの所見を聞いて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
    16: ◯副議長福間賢造) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 17: ◯知事溝口善兵衛) 園山議員の御質問にお答えをいたします。  最初の質問は、島根の将来についてどのような所感を持っているかということでございます。  人口の減少傾向と絡んでの御質問でありますが、その点は後で申し述べますけれども、島根の将来、やはり島根には、島根らしい豊かな自然が残っております。あるいは、今回の出雲大社の大遷宮などに象徴されますように、古きよき文化、伝統、歴史、そうしたものがよく残っております。そしてまた、そういう中で、温かい地域社会が残っておりますし、企業立地などでよく言われることでありますけども、真面目で粘り強く働く県民の方々がおられるということでございます。  これは、大都市で戦後の経済発展の中で失われていったものでありますけども、島根県は発展がやや、いろんな理由でおくれたために、こうしたよきものが残っておるということは島根の強みだと私は思います。  近年、そうしたものに対する日本全体の関心が高くなっております。それは、日本全体がこれまでのような経済発展というような事態がなかなか想定されにくい。大都市の厳しい世界がある。あるいは、近隣諸国が発展することによって、日本を取り巻く環境が変わってきている。そういう中で、人々の考え方の変化も出ております。こういうものを活用して、豊かな島根を築いていく、活力のある島根を築いていく。これが将来に対する私どもの政策の核心にあるものであります。  若干理念的でありますけども、そうした中で、若い人たちが、この島根の中で安定した職を見つけられるように産業の振興を行っていく。そして、若い世代が安定した収入を得ながら、そして安全・安心の島根で安心して子育てができる。そういうことを進めていく必要がありますし、またそうして生まれる子どもたちが、島根のしっかりした教育を受けていく。あるいは地域社会の人々に守られながら健やかに育っていく。そして、御高齢の方、高齢者の方々にとっては、安心して老後の世界を送ることができる。あるいは、社会参加をそういう過程でもいろいろやっていける。そういうことを島根において実現をしていく。  さらに、女性の方々もそういう中で社会生活においても一定の役割を演じていく。そういう役割がふえていく。そういうことを県政としては、方向としては目指していかなければならないというふうに思うわけでありますけども、もちろん島根の人口の減少といったものは短時日に起こったわけではないわけであります。長く言えば、明治の近代化の過程で地方部よりも東京などを中心とした大都市の発展が起こりますし、戦後の工業化、近代化といったものがやはり平地の多い、あるいはそうした大都市部で発展をしていくということになって、島根に限りませんけれども、そうした地方部における人口の減少傾向、若い人が少なくなりますから、人口のピラミッドがだんだん垂直になっていく。これを短時日で直すというのは容易なことではありません。  しかし、そういう中にあっても、我々が言わなければいけないのは、それはやはり、日本の発展の仕方と大いに関連してるわけでございますけども、午前中の答弁でも申し上げましたが、そういう国の政策を地方に向けたものにする。分散を可能ならしめるようないろんな施策を展開していく。そういうこともやっていかなければならない。いろんな課題があるわけでございます。もちろん我々自身も大いなる努力をそれに向けてしていかなければならないというふうに考えているところであります。  それから、2番目の質問で、知事と課長など、幹部職員との情報共有についての御質問がありました。実は、私のところの内部会議というのは、本当にしょっちゅうあるわけであります。用事がないときは、大体内部会議で埋まっておるわけでありまして、部局長と、あるいは毎週定期的な会合をしますし、終わった後、特定の問題がある部局には残ってもらって、打ち合わせをしたり、指示をしたり、そういうことをやります。また、課長クラスは、私の部屋にはしょっちゅう来られるわけです。案件の説明等を行う場合には、部局長はもちろんでありますけども、大体課長クラス、あるいはGLクラスがやるわけでありまして、私も課長、部長、区別せずに議論をしておるわけでございます。そういう意味で、いろんな情報の共有、いろいろもちろん改善すべき点はあると思いますけども、私としては大事なことであるんで、これにはいろんな御意見もお聞きしながら、さらに対応を進めてまいりたいというふうに思います。  それから、その関連では、私は、幹部職員に言っているのは、人の話をよく聞きなさいと。それから、現場に出なさいと。現場でいろんなことを見てもらいたいということを言っておりますし、それから部局の連携につきましては、関連のある問題については必ず関連部局を呼んで、みんな集まって議論をすることにしておりますし、また課長クラス、GLクラスには特定の問題について研究をしてもらうといったようなこともやっているところでございます。いろいろ御意見がおありでしょうから、またそういう点についてはお聞かせいただければ、また参考にしたいと思います。  次に、総合発展計画について、御質問がありました。  その関連で言いますと、人口の問題でありますけども、大体毎年自然減で3,000人ぐらい減るわけであります。これは自然増が自然減に転ずるのが90年代の初めぐらいでありますけども、これがだんだん拡大をするわけであります。それは、高齢者の方が多くなりますし、若い世代が少なくなるといった人口のピラミッドの変化から来るものでございまして、それは改善すべき、改善し得る道もあります。例えば、子育てをしやすい環境をつくって、女性が生涯お産みになる子どもの数、合計特殊出生率を上げていくといったことがありますが、たまたまでありますけども、昨日、県別のその指標が発表になっております。島根県は1.68でございまして、東京あたりは1.0ぐらいでございます。2になって大体人口が維持されるということになるわけでありますけども、沖縄に次いで第2位ということで、近年のいろんな市町村を始めとした子育て支援の対応等も若干影響を受けてるのかなという気がするわけでございますし、そういう面での努力もしてまいりますし、それから社会増減であります。これは、県外に出る人、県内に入ってくる人、学生なんかが出てまいりますけども、やはり大都市地域で雇用の吸収、新規投資がどんどんなされて雇用がふえていきますと、それに地方から応募するわけであります。島根でも産業誘致を行う、企業誘致を行う、島根の産業を発展させることによって雇用をふやしていく、大事な課題でございます。それに取り組んでおりますが、これにつきましても、景気がいいときは、大企業のほうがよくなりますから、むしろ都市に出ていく人が多くなる。景気が停滞すると、都市の吸収力が少なくなるんで、むしろ島根の人口減は、社会減は減るといったような関係もあります。いろいろ複雑な要因もありますが、私どもとしては、産業振興、いろいろあります。そういうことを進めることによって、県内の雇用確保に全力を挙げていきたいというふうに思っておるところであります。  それから、総合発展計画に関連して、目標数値の立て方、進行管理のあり方、分析、評価などについての質問がありました。  総合発展計画自身は、3つの目標があって、そして重要な政策は15分野ぐらいあるわけです。産業振興でありますとか、農業の振興でありますとか、あるいは教育の充実、安全・安心の県土づくり等々ありますが、その中に施策というのが大体66本ぐらいありますが、それも大きな目標でございます。議員がお挙げになったような個別の施策は事業ということでございまして、事業としては約700近くあるわけでございまして、これはそれぞれの部署で担当しとるわけでございます。  そこで、どういうふうな評価、見直し、そのサイクルを行ってるかということをちょっとお話をいたしますと、総合発展計画は10年間の計画でありますけども、4年ごとの実施計画をつくっておりまして、今は第2次の実施計画期間中であります。24年から27年度までであります。そうして、その中にいろんな数値目標のものもあります。それがどういうふうに進展してるかというのを、大体夏から秋の段階で政策企画局と関係部局と議論をしながら、データをもとに評価をします。それで、進んでるもの、進んでないもの、それに対して来年どうするかという方向の議論をします。その議論を、大体私のところで秋から年末にかけて重要施策についてやります。そこで、今度年末に、国の予算が決まってまいりますと、県の予算自身が国の予算の影響を受けますから、それがあらかた決まりますと、来年度予算に先ほどの評価、検討を入れまして、来年度予算にどういうふうな対応をしたらいいかという相談をして、その上で予算案ができて、議会に提出されると。議会の承認を得ますと、新年度からやりますが、新年4月の段階では、大体人事異動なんかがありますから、それから比較的時間のあるときですから、その1カ月近くかけまして、新任の部長、課長、新体制のもとで引き継ぎを受けた結果、今年はどういうことに注意してやるか、大粒の問題が中心になりますけども、副知事、そして政策企画局長、総務部長、それに関係部局の部局長、そして課長、GL等が私の会議室に来まして、一日中議論をしたりする。それによって、今年度はどういう方向を探るかという方向づけをある程度やるわけであります。  さらに、県の施策は国の財源付与にも大きく依存しております。それから、一般財源がどうなるか。あるいは、国がどういう施策を展開するか。そういうことがありますから、重点要望の形で何を中心に国に要請するかということを、我々のそうした議論を通じて整理をしていきます。それで、重点要望を国にもいたします。  それから、夏前の段階、夏から秋にかけまして、さっき申し上げたような、各部局と政策企画局とで進行状況のチェックをする。そういうサイクルを毎年繰り返しておるわけでございます。これにつきましても、個別の事業につきまして、議員がおっしゃるような点は当然入ってくるわけでございますけども、必ずしも長期的な視点を欠いているといったような問題もあろうかと思います。そういう問題につきましては、また我々のほうでもいろんな御意見を得ながら、しっかりと対応していきたいというふうに考えておるところであります。  それから、観光統計について御指摘がありました。  この問題は我々もよく承知をしてるわけでございます。観光客、いろいろなところを回られますから、その統計のとり方の問題でありまして、島根県の場合には、幾つかの施設に行かれますけども、どの人がどこに行かれたというのは実数で把握することはできないんで、行った観光施設ごとに把握して、それを足し上げますから、当然大きくなるわけであります。それで、サンプル調査などをしまして、大体の観光客の方は平均何カ所ぐらい行くというのを統計的に調べまして、それで割り戻すと約2分の1ぐらいになるといった経験の法則があります。だから、どちらも推計ではあるわけですが、表示の仕方が違うというふうに理解をしてますけども、その問題につきましては、一般的に使われる、いずれにしても推計値になるわけでありますから、1人の人が何カ所も行くというんじゃなくて、人をベースにするんであれば、観光庁の統計のほうがより実態に近いというふうに思います。その点は後ほど、そういう点について見直すように、関係部局に指示をしておりますが、商工労働部長から答弁をさせます。  それから、職員が外国人観光客の誘客など、ノウハウを勉強するために、いろんなところに出ていってはどうかという御指摘がありました。  私どももそれは考えておるとこでございます。例えば、本年度から、官民で中国5県の県及び民間団体と一緒になりまして、中国地域観光推進協議会というのが広島県庁の中にあります。そこに職員1人派遣しまして、中国地域観光推進協議会は、ここ数年、知事会などとも協議しながら、外国人の誘客をどうするかという事業をいろいろ調査なんかもやっておりますので、そこでよく勉強してもらうということをやっております。  また、観光庁との連携につきましては、観光庁の場合には、国際観光につきまして、複数の県が連携して外国人誘客事業を行っている場合には、観光庁も一緒になってやるというものがございます。今年度、予定しておりますのは、やはり遷宮があります三重県と連携をして海外のPRの事業を行います。それから、鳥取県とはずっと連携をやっておりますけども、台湾、韓国の旅行会社やメディアの招請等々につきまして、観光庁とも一緒に行うということになっております。  また、海外の情報発信につきましては、観光庁あるいは日本政府観光局──JNTOですね。そこに神話博を始めとした島根の観光PRに協力をいただいたりしております。これからも関係の機関と連携しながら、観光振興に当たっていきたいというふうに思います。  それから、観光の政策展開でありますが、まさに観光業というのは、広く業種が分かれますけども、旅行会社があり、あるいは運輸会社、JRがあり、あるいは飛行機会社があり、あるいはそういうものをPRする業界があります。いろんな雑誌を出す。そういうところと連携をしながらやっておりますし、県内の観光産業は、旅館、ホテルなんかが一つの中心でありますけども、輸送会社、運輸会社、そして一般の商業を行う人、あるいは観光地で商業を行う人、いろいろございますが、観光業というものを広いくくりで産業振興としてやっていってるというふうに、私どもは考えております。いろいろ多岐にわたっておりますけども、旅行会社につきましては、島根の魅力のある観光地を含んだような、回るような旅行商品をつくってくださいということで、それによって誘客を進めますし、あるいはJRにつきましてはPRを一緒にやるとか、あるいはJRも特別な列車を出すとかいろいろあります。飛行機会社も同じようなことでございます。そういう意味で、総合的な観光施策を展開していきたいというふうに考えております。  それから次に、島根県の和紙について質問がありました。  島根県では、古くから和紙づくりが行われております。それぞれの和紙により風合いや色合いなどが異なり、長い伝統の中で培われてきた地域の貴重な特産品であるというふうに認識をしております。  松江市の八雲町では、人間国宝の故安部栄四郎さんにより復興された出雲民芸紙があります。浜田の三隅町には、ユネスコの無形文化財に登録された石州半紙がございます。そのほか、安来の広瀬和紙、雲南市三刀屋町の斐伊川和紙、出雲市佐田町のスサノオ和紙、江津市桜江町の勝地半紙など、いろいろな和紙があります。  それぞれの生産者におかれまして、和紙の特色を生かしながらも、現代生活にマッチした製品づくりも行われており、若い人も活躍しております。こうした取り組みを、県としては支援をしていきたいと思っております。地域の伝統工芸品である和紙を次世代につなぐことが大事だというふうに考えておるところであります。  次に、山林の活用についての御質問がありました。  山林につきましては、やはり地域の雇用の創出、山林にあるさまざまな資源のフル活用、地域産品を付加価値の高い商品に加工して、県外にも出荷をしていくということ。こういうことを通じまして、山村の活性化につなげていくということが大事だというふうに思ってます。  具体的な山林の活用方法としては幾つかあります。1つは木材生産でありますが、木を切って使って植えて育てる循環型林業を推進していくと。これは国の施策としても展開をされてます。そういうものと一緒に進行中であります。  それから、特用林産という分野があります。例えば、シイタケの原木となるクヌギ、あるいは胃薬の原料となるキハダ、あるいは祭事等に使われるサカキの栽培などがあります。こうした特用林産は、木材に比べまして短期間で収穫ができ、中山間地域の収入の一つとして重要であります。そしてまた、保健休養と、山林をそういう休養のために活用するということがありますが、森林セラピーの効果を活用した都市との交流、学習の場などとして利用していくということでございます。  山林にありますこうしたさまざまな資源を活用するに当たりましては、気候や土壌に適する樹木の選定、市場の動向、需要の見通し等を考慮して進めていく必要があるというふうに考えておるところであります。  次に、農林水産業の今後の展開についての御質問がありました。  農林水産業は、地域資源を活用し、農山漁村の暮らしと密接にかかわり合う中で発展をしてきたものであります。県としましては、新たな農林水産業・農山漁村活性化計画に基づきまして、次のような視点で具体的な取り組みを展開しております。  1つは、産業として自立する農林水産業をつくるということであります。例えば、大型の稲作経営、肉用牛の繁殖・肥育一貫経営でありますとか、あるいは基幹漁業の経営を拡大をする。  2番目は、暮らしと結びついた農林水産業を振興するということで、各地で産直活動などもなされております。これを振興していく。地域の特産品を活用した新たな加工産品を開発する。あるいは、有機農業を拡大をする。半農半Xをやられる方々をふやす。  さらに、活力のある元気な農山漁村をつくっていくということで、NPO法人などの参画による地域資源の保全、グリーンツーリズムなどを進めるといったことがあります。  それから、こうしたことを目指しながら、島根の農山漁村の経済を支える農林水産業をしっかりと支援をし、豊かな中山間地域が形成されるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。以上であります。 18: ◯副議長福間賢造) 西山地域振興部長。  〔西山地域振興部長登壇〕 19: ◯地域振興部長西山彰) 島根における余録についてお答えいたします。  自然豊かな島根県には、季節の山菜やキノコ、竹、カズラなど、収入を得ることができるさまざまなものが自生しております。これらのものを使って、煮しめや竹細工、つる細工など、昔から地域で継承されてきた手作業による加工品や民芸品が製造・販売されております。また、手近な産直市での自過剰野菜をお裾分けするような販売。部屋数の多い農家などで、空き部屋などを活用した、島根県では田舎ツーリズムというふうに言っておりますが、民泊体験。時には地域で厄介者になっております竹を使った竹炭づくり。海の恵みを使った伝統的な塩づくりなどがあります。そのほか、視界には入っているものの、価値に気づいていないものがたくさんあると思います。気づく力をつけていきたいというふうに思います。  さらに、地域で長年暮らしてきたお年寄りの知恵や工夫なども余録に値するものと考えております。これらは地域で暮らす方々の楽しみや生きがいとなって地域の活力や豊かさにつながっていくものと思います。 20: ◯副議長福間賢造) 石黒農林水産部長。  〔石黒農林水産部長登壇〕 21: ◯農林水産部長石黒裕規) 私からは、コウゾ及びミツマタの栽培の現状認識と中山間地域の転作作物についてお答えいたします。  コウゾにつきましては、浜田市や江津市で100キログラムほど生産されております。それぞれ地元の工房で和紙に加工されております。ミツマタにつきましては、津和野町や大田市を中心といたしまして、3,600キログラムほど生産されております。主に、紙幣の原料といたしまして、独立行政法人国立印刷局へ納入されております。この国立印刷局の買い取り価格でございますけれども、30キログラム当たり7万8,000円ということでございますが、生産費から算出されました生産者の買い取り要望価格、これが30キロ当たり11万円でございます。この差が大きいものですから、全国的に生産の減少が続いている状況でございます。  一方で、議員御指摘のとおり、中山間地域におきまして、それぞれの地域に合った地域資源を転作作物として振興していくことは大変重要な課題であると認識しております。このため、県といたしましても、エゴマやアカメガシワといった機能性植物の栽培や、タラの芽の生産といった取り組みを進めているところでございます。  今後とも、このような地域資源を活用する取り組みを支援してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。 22: ◯副議長福間賢造) 中村商工労働部長。  〔中村商工労働部長登壇〕 23: ◯商工労働部長中村光男) 私のほうからは、島根県と観光庁の観光統計の違いにつきまして、具体的な数字でお答えをいたします。  島根県では、市町村が集計した観光客数、対象施設への延べ入り込み数を合計したものですが、これを取りまとめて県全体の観光入込み客数延べ数として発表してきております。園山議員がおっしゃいました2,700万人というのはこの数字でございます。  観光庁は、平成21年に全国各都道府県ごとの観光入込み客数の実態でありますとか変動などを比較する目的で、共通基準というのを設けました。島根県も、この基準に基づきまして、観光入込み客数などを観光庁に報告してます。観光庁はこれを四半期ごとに全国の数値として公表しております。  それで、この観光庁が発表しております島根県の平成23年の観光入込み客数ですが、これは延べ人数では2,100万人となっておりますが、主に実人数で公表されておりまして、約1,000万人でございます。さまざまな機関が行っている各県別の比較でも、この実人数を使う場合がふえております。この実人数の推計方法ですが、知事が先ほど答弁しましたように、1人が何カ所訪問しているかということを、県が県内12カ所で延べ3,500人ほどのアンケート調査を行って算出しており、これをもとに割り戻しております。そして、これを観光庁に報告しております。  一方で、県が発表しております冒頭に言いました観光動態調査の数字、平成23年の観光入込み客数は延べ人数約2,700万人と公表しておりまして、公表はしておりませんが、これをもとに、先ほどの例で計算しますと、実数は約1,200万人となります。この県の数字と観光庁の数字、入込み客数で延べ人数、実人数とも差がありますが、これは観光庁の基準が、調査地点が年間入り込み数が1万人以上、または月間5,000人以上の施設に限られているのに対しまして、本県では市町村の観光動向や経年の推移を把握するために、1万人以下の主要な施設も加えているためです。  これまでも、統計としての精度を高めるため、アンケート調査のサンプル数をふやすなど、改善を加えてきたところですが、今後は、観光客の実人数を主体とした公表、併記になると思いますが、実人数を主体をした公表に見直すとともに、精度をさらに高めるように努めていきたいと思います。 24: ◯副議長福間賢造) 園山議員。  〔園山繁議員登壇〕 25: ◯園山繁議員 地域振興部長さん、私は今みたいな答弁を聞くために質問なんかしてませんよ。そんな表面的な、島根県にはいろんなもんがあります。そんなこと、聞かんでもわかっとります。どういうものを拾い出して、どうやってそれを県として推し立てていくかということをここで述べなきゃ、意味ないじゃないですか。  私は、地域振興部の職員さんと一緒に福島県へ行きました。現地を見てきました。現地で、その160人の年寄りさんたちが集まっとる工房に、町のお金なんか一円も入ってないです。財政支援なんかしないんです。ただ、職員さんたちは、一生懸命売る努力とか、あるいは例えばヤマブドウのつるなんか、もう年寄りになって山へ入れん。それを、じゃあどうやってとっていくかというのは、町の職員さんたちが東北営林局へ行き、営林局が毎年ヤマブドウのつるを切る、それを、今までは大きなお金をかけて処分しとったものをもらってきて、だから年寄りさんたちにそれを材料として確保するためにがっしょがけになっとられるわけです。  あるいは、千葉大学の造形デザインの先生をつれてきて、今、どういう形のものをつくると全国的に売れるのか。そういうことをやってるわけです。あんたたちみたいに、あそこにもあります、ここにもあります、これから大事にしますみたいなことじゃないですよ。本当にがっしょがけでやっとられます。今なんかの答弁聞いて、そんながっしょがけという、そういう気持ちは伝わりません。そんなことで島根県は振興しません。年寄りも救われません。だけども、私が3世代同居だというのは、年寄りさんには知恵があります。その知恵を引き出して、それで若い者たちに伝えていかせるような、そういう取り組みをやっていくことこそ、これからの地域社会をフローさせていく私は大きな鍵があると、こういうことをこの質問で申し上げたはずだ。それが伝わらなかったとすると、大変不本意であります。 26: ◯副議長福間賢造) 不本意ですから、本意になるような答弁よろしく。  西山地域振興部長。  〔西山地域振興部長登壇〕 27: ◯地域振興部長西山彰) 今の議員の御指摘、心に、肝に銘じまして。今、地域の中でおじいさん、おばあさんの知恵、工夫というものが、なかなか世代、いわゆる核家族になったために伝わりにくくなっているのは事実だろうと思います。その中で、そのおじいさん、おばあさんが長年暮らしてきた知恵、工夫みたいなものを、どう若い人に伝えて、その中で我々県職員が一体何ができるのかということを、まずはやはり現場へ出て、そこにあぐらをかいていろんな話を聞く、そういったことから始めないと、少なくとも机に座ってああだこうだと言っておっても、多分解決しないだろうと思います。そうした中で、いろんな話が聞ける中で、本当にその地域の中で埋もれている大きな、島根県にとって大切な資源というものが目に見えてきて、それをほんならどう生かしていくかということに関してまた議論が始まり、そこに対して県が何がお手伝いできるのか。市町村はどこの辺を担うのか。そして、住民の方は何をやっていくのかということについて議論をして、少しでも地域が元気が出、若い人から老人、そして小さな子どもまで、それぞれが元気に暮らしていける、そういったものをつくっていくように目指したいと思います。 28: ◯副議長福間賢造) よろしいですか。  中村議員。  〔中村芳信議員登壇、拍手〕 29: ◯中村芳信議員 中村芳信です。ただいまから一般質問を行います。  知事、自民党と公明党が政権に復帰して半年がたちました。これまでのマスコミ各社の世論調査などを見てみますと、政権を支持する理由の多くが、その経済政策に対する期待にあるようであります。大胆な金融緩和、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略から成るアベノミクス、その目指すところは、円高・デフレ不況からの脱却と日本経済の再生ですが、そのうち円高対策のほうは、ここ数週間は調整局面にあって混乱をしてるようですが、主に日銀の買いオペレーションによる金融緩和によって効果があらわれているのは御承知のとおりです。  まず、知事には、この安倍政権のこれまでの大胆な金融緩和についてはどのように認識、評価をされていますか。伺います。  しかし、この経済財政政策について、問題は、これまでのそうした金融緩和の成果を、我々が日々消費をし、住宅投資をし、そして企業が設備投資をする、いわゆる実体経済に反映させ、内需の拡大を図って、まずはこの国の景気を回復基調に持っていくことであろうかというふうに思います。そのため、日銀の金融政策、マネタリーベースの拡大によって増大するマネーを、民間の設備投資や住宅投資、あるいは消費に回るよう、何らかの方法、手段によって誘導する必要があるように思っています。  ところが、そうはいっても、現在、財務省の法人企業統計だとか、あるいは日銀の資金循環統計を見れば、もう明らかですけども、小規模零細企業は別として、企業の利益準備金、要するに内部留保は大きく膨らんでおり、また民間金融機関の貸し出しについても、その残高よりも保有する預貯金の残高が200兆円余りも多い過剰貯蓄の状態にあることも厳然たる事実です。おまけに需要が不足している以上、資金が投資に回るとは限りません。このままでは大胆な金融緩和もその資金は行き先を失って、事実そうなりつつあるように思ってますけれども、専ら、株式や不動産投資に向かい、GDPの拡大とはほとんど縁のないマネーゲームやバブルの再来が懸念をされます。いわゆるインフレターゲットを主張するリフレ派の人たちの限界がこの点にあるように思っています。  一方、日本経済がデフレ基調に陥ったのは1995年からと言われていますけれども、金融緩和によって増大するマネーを民間の設備投資や住宅投資、あるいは消費に回るよう、何らかの方法、手段によって誘導する必要があるといっても、設備投資減税や、あるいは賃上げ減税なども議論されているようではありますが、その牽引役をいきなり民間に求めるのも、やはりここ20年近くも深刻なデフレ不況に悩まされ続け、設備投資マインドが冷え切っている中では、望むべくもないことも現実であろうというふうに思います。  ここは、民間にかわって、この国の景気回復を主導する牽引役が必要だろうというふうに思います。残されているのは政府部門だけです。ここはまず、政府が牽引役となって、国債の発行によって市中のマネーを吸い上げ、国民の公共の目的のために投資を行い、そのことによって、国内需要と供給のギャップ、今はデフレギャップですが、それを埋めていく必要があろうかというふうに思います。  この点、国においては、2月、5兆円を超える公共事業予算を含む10兆円余りの経済対策のための大型補正予算を組み、また先月15日には、これも昨年度を上回る5兆円余りの公共事業予算が成立したところです。本県でも、公共事業費は国の経済対策を受けた2月補正予算分と合わせ1,075億円、昨年度比154億円、16.7%の増となりました。評価したいというふうに思います。  ただ、問題は予算の継続性です。この国の建設業の供給能力は、特に地方のそれは、これまでの公共事業削減のために大きく落ち込んでいるのが現状です。予算に継続性が見えて、初めて経営の先行きを見通すこともでき、雇用の拡大にもつながります。たとえ財政赤字を懸念する声があり、国債増発による公共事業の大盤振る舞いというような批判があっても、需要不足のデフレ不況時には、政府が財政支出を拡大して需要を創出すべきであり、国土強靱化などの政策をしっかり浸透させることで、国には先頭に立ってデフレ脱却に向けた強い意志があることを示してもらいたいと思っているところです。  このアベノミクスの第2の矢、機動的な財政政策について、知事はどのような所見をお持ちですか。お聞かせください。  また、本県における公共事業の今後の継続性についてはどのようにお考えですか。あわせて伺います。  また、これに関連して、近年、主に公共事業に懐疑的な論者や、あるいは財政健全化を重視する方々から、公共事業は無駄で、事業効果や乗数効果はかつてほど高くはなく、景気対策としての効果は薄いという主張がよくなされています。公共事業の効果には、整備する構造物や施設そのものの効果である施設効果・ストック効果と、公共事業に伴って支出される公共事業関係費がGDP等の社会、経済に及ぼす事業効果・フロー効果があり、そのうち、前者を代表するのが費用便益分析、後者を代表するのが乗数効果分析と言われています。  この乗数効果を分析するマクロ計量モデルは幾つかありますが、ある一つのモデルを除くと、どのモデルも一定水準の公共投資を毎年行い、それを5年間継続させれば、公共投資1兆円当たり1兆5,000億円から3兆5,000億円程度のGDP増進効果があると推計をしています。中には、今後10年間で250兆円の公共投資を行い、同時に民間投資誘発策を行った場合、10年後のGDPは870兆円余りになるという推計をしているモデルもあります。  ところが、1つだけ、ほぼ真逆の推計をしているモデルがあります。内閣府の経済財政モデルです。このモデルでは、1兆円の公共投資を毎年続けても、5年後には4,000億円程度のGDPの増進効果しかないとしています。ちなみに、このモデルで消費税を1%増加させたときにGDPがどれくらい低下していくかを推計すると、あろうことか景気低減効果は軽くなっていき、5年もすれば0.4%程度の景気低減効果で済むとしています。この内閣府モデルは、2001年、当時の構造改革路線をひた走り始めた小泉内閣のもとで新たに導入されたもので、意図的なものを感じるところですが、その後、民主党政権においても踏襲され、今日に続いています。  マクロ計量モデルというのは、GDPやGDPデフレーター、失業率、平均給与、税収などの指標がどのように変遷していくのかを分析していくもので、増税をしたときにどうなるか、公共投資を行ったときにどうなるかといった将来を予測するものとして活用されるものであって、政府はこのモデルのシミュレーションを活用しながらマクロ経済政策を検討しているというふうに思っています。それだけに、政府がこの異様なモデルを採用しているのは非常に問題があるというふうに思いますが、この公共事業の事業効果、とりわけ乗数効果について執行部はどのような認識を持ち、評価をされていますか。伺います。  またあわせて、今年度本県の公共事業費は2月補正分と合わせ154億円、16.7%の増です。経済活性化のための社会資本整備ですが、どのような効果を期待をされていますか。お聞かせください。  次に、民間投資を喚起するはずの成長戦略、アベノミクスの鬼門だと感じています。ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者ジョセフ・スティグリッツは、この春日本を訪れたときに、NHK、BS1の番組で、黒田日銀総裁に何が必要かと尋ねられ、日本には自由化や規制緩和もアジェンダに加えるべきだと考えている人たちがいるから、彼らにはよくよく注意しなければならないと答えたとのことでありますが、スティグリッツがこう指摘したということを聞きまして、それがアベノミクスがはらむ最大の弱点を見事についていると感じたところであります。  御承知のように、安倍首相は、日本を取り戻すというスローガンを掲げて政権に復帰をしました。強欲を原動力とするこれまでの資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る瑞穂の国の資本主義、瑞穂の国にふさわしい市場主義を目指すと、感傷的、情緒的、抽象的で気になるところもありますけども、そう主張をしています。  ところが、産業競争力会議の民間議員たちの議論や提出資料を見てみますと、成長戦略に打ち出の小づちはなく、企業に自由を与え、体質を筋肉質にしていくような規制改革が成長戦略の一丁目一番地、重点課題分野に関して、新規分野も重要であるが、これに過度な期待をかけても国を支える規模には容易にはならない。勝ち組ないし勝ち組になるポテンシャルを持つ既存分野を重点投資すべき。弱者ではなく敗者となっている企業を国が支援を行うと、せっかく国内競争に勝ち、世界の場で戦おうと思っても、復活した敗者と国内で再度戦わなくてはならなくなる。こうした支援の仕方はできる限り避けるべき。また、第4回会合の配付資料では、人材力強化、雇用制度改革について、経済成長のためには生産性の低い産業から生産性の高い産業への労働移動を推進していかなければならないなどと、かつてどこかで聞いたようなフレーズがありますが、現在がデフレ不況であるということを無視した構造改革論や、需要側を無視し、サプライサイドの強化だけで経済は成長するという発想が色濃く出ているように思っています。  もっとも、規制緩和が全て悪だとはもちろん考えておりませんが、このように民間投資を喚起するはずのアベノミクスの第3の矢、成長戦略、残念ながら、それは明らかに新自由主義の方向へと回帰しているように感じています。  金融政策、財政政策、成長戦略の3本の矢といっても、3本目のこの成長戦略はまだ先の話とし、まずは大胆な金融緩和と機動的な財政政策にしっかり取り組んだ上で、時間をかけてじっくり取り組めばよいと考えているところです。  政府は、この夏の参議院選挙やサミットを意識してか、この14日、経済財政諮問会議や産業競争力会議などの議論を踏まえ、閣議決定するということであります。その内容については、既に出始めていますが、別の機会に議論をするとして、まずはこの民間投資を喚起する成長戦略の意義について、知事はどのように所見をお持ちですか。お聞かせください。  次に、執行部では、ことし3月時点での本県の経済動向について、この5月末、島根県の経済は一部に持ち直しの動きが見られるものの、全体としては横ばい圏内にあるとし、生産活動は全体として持ち直しの動きが続いている。雇用情勢は持ち直しの動きが足踏みしている。個人消費は横ばい圏内ながら、一部に弱い動きが見られる。投資動向は下げどまっているとし、県内経済は一部に弱さが見られるものの下げどまっている。なお、足元では企業の景況感が改善しているほか、先行きに対する明るい声が聞かれるとすることし1月から3月期についての松江財務事務所の島根県の経済情勢や、あるいは山陰両県の景気は弱目に推移しているが、持ち直しに向けた動きも見られるとする日銀松江支店の山陰の金融経済動向とは違って、シビアというか、慎重な判断をしているように思っています。  また先日、地元山陰中央新報社の社説では、山陰両県に本店を置く銀行3行のことし3月期の連結決算に関連をしまして、アベノミクス効果で景気回復ムードも全国的に広がっているとしながらも、山陰では景気回復の実感は乏しい。倒産は落ちついているが、円滑化法によって先送りされた不良債権が今後表面化するリスクもくすぶっている。そうした中で、地元3行とも不良債権はふえている。取引先の経営が悪化し、借入金の返済が滞っているためである。また、銀行の収益源となる貸出金収益は、地元企業の資金需要が低迷しているため減少。山陰両県企業からの資金需要は伸び悩んでいるなどとして、アベノミクスの効果どころか、山陰経済の依然として厳しい状況が語られていました。  もっとも、国の経済対策の波及効果については、これまでもそうでありましたように、半年や1年で地方にあらわれてくるとは思いません。やはり最短でも2年や3年はかかると予想されます。とりわけ島根などでは5年や10年はかかるかもしれません。  いずれにしても、アベノミクスの政策効果が島根県経済にあらわれてくるには時間がかかるというふうに思います。その間、今回の国の経済・財政政策に呼応して、県としてどのような産業政策、経済対策を行っていかれるおつもりですか。お聞かせをください。  さて最後に、内閣府は、先般5月16日、ことし1月から3月期のGDP1次速報を公表をしました。それによりますと、民間設備投資は実質0.7%、5四半期連続のマイナスであったものの、民間消費や民間住宅投資が寄与し、前期比実質で0.9%、名目で0.4%、2四半期連続のプラス成長であり、年率に換算するとそれぞれ3.5%、1.5%の成長になるということです。  これを受け、甘利経済再生担当大臣は、異次元の政策投入による異次元の景気回復への歩みが始まった。消費税を上げる際に判断する経済環境が整いつつあるものと発言し、また市場や民間エコノミストの多くも、政府が消費税増税の判断材料として重視する、ことし4月から6月期の実質GDPは、年率換算で前期比2から3%台のプラスで推移すると見通しを修正するなど、来年4月からの消費税8%への引き上げが既定路線であるかのような様相を呈してきます。そして、本日、内閣府は2次速報を公表し、1次速報を上方修正をしました。
     しかし一方で、この速報では、ことし第1・四半期のGDP成長率だけでなく、GDPデフレーターや昨年度のGDPについても公表されています。それによりますと、GDPデフレーターは前期比0.5%の下落、前年同期比については1%の下落、しかもこの数値は2009年10月から12月期以降14四半期連続であること。また、昨年度の実質GDP成長率は前年度比1.2%、名目GDPは同じく0.3%成長となったものの、GDPデフレーターについては前年度比0.9%下落、1998年度以来15年連続の下落が続いているとしています。要するに、この国の経済は、実質GDPの成長ほどには税収の源泉である名目GDPが成長してないデフレ基調の構造になっているということであります。  果たして、そうした中で、この秋、4月から6月期のGDP成長率が名目、実質ともに上昇したとしても、実質、名目の成長率が逆転をし、改正消費税法の景気条項が言うところの名目で3%、実質で2%の成長となり、GDPデフレーターが上昇に転じて、来年4月からの消費税率のアップの判断ができるか、大いに注目をされるところであります。  自民党政権は、かつてこの問題で大きな判断ミスをし、この国の経済社会を混乱に至らしめた経緯があり、第2次安倍政権には同じ轍を踏んでもらいたくないと思っていますが、知事、デフレ下の消費税増税は、ただでさえ縮小している需要をさらに圧迫し、デフレを深刻化させる懸念がある。現在の我が国の社会経済環境では、国民の負担を大きくするだけであるという根強い意見があります。デフレ基調が解消されない中での消費税増税をどのように見ておられますか。お聞かせください。  さて、依然として厳しい状況が続いています。次に、本県の地域医療の支援について伺います。  この課題について、本年度当初予算では、県内各地域で適切な医療が提供できるよう、救急医療体制の整備や医療機関の機能充実を推進、また医療資源を可能な限り効率的、効果的に活用するため、医療機関の機能分担と連携強化の推進を図るとしていますが、まずドクターヘリの広域連携について伺います。  救急患者に対し、医師、看護師がいち早く駆けつけ、救急医療を施すとともに、患者の病状に応じて搬送先病院を選定し、迅速かつ安全に搬送を行うドクターヘリが運航開始し、この6月で2年が経過をしました。先日も、新聞の投書欄に、奥出雲町の方が心筋梗塞と診断され、即座にドクターヘリで搬送されて手術を受け、無事退院をできて感謝してる旨の記事が載っていました。県民の救命率の向上に大きく寄与していると評価をしています。  しかし一方で、島根県は東西に長いことから、基地病院である県立中央病院から遠く離れた県西部地域では、ヘリ到着までの時間が30分以上かかる地域が、私の地元を始め存在し、現場救急という点においてドクターヘリのメリットが必ずしも生かし切れないという課題がありました。  そうした中、県内のドクターヘリ運航に関係する病院長さんや、あるいは救命救急医の皆さんからの提案を受け、本県が調整役となって、中国5県におけるドクターヘリの広域連携基本協定が締結をされ、5月1日から広島県のドクターヘリの島根県西部への乗り入れが開始をされたところです。今月中にも、山口県も石西地域への乗り入れを開始する予定と聞いております。  より早く救急患者のもとに駆けつけることができるようになったことは大きな成果であり、高く評価をしたいと思います。  このドクターヘリの広域連携について、県内市町村における臨時離着陸場の拡充整備など、差し迫った課題もあると感じていますが、知事にはどのような所感を持たれ、今後どのようなことを期待をされますか。まず、お聞かせください。  次に、まめネット、県が全国に先駆け、県下全域を対象として整備した医療情報ネットワークまめネットは、1人の患者を役割の異なる複数の医療機関が連携して支える医療体制の確立に有効なツールとして期待をしています。このまめネットを活用して、病院、診療所等が診療情報を共有することで、限られた医療資源を有効に活用することができるとともに、県民にとっては、いつどこでも安心して適切な医療を受けることが可能となり、今後全県にこのネットワークが広がっていくことを望んでいます。  ところで、今年度からスタートした島根県保健医療計画でありますが、そこには在宅医療の推進が掲げられています。しかし、津和野共存病院では、既に自宅や施設で療養している200人を超える患者さんの往診を2人の医師で行っています。自宅で療養されている患者さんの家庭には、病院からは医師が、訪問看護ステーションからは看護師が、日常的にはホームヘルパーが訪問し、状況によって、薬剤師や歯科医師、歯科衛生士の方も訪問をしています。患者の状況や注意事項などは連絡ノートなどによってそれぞれの間で共有されていますが、自宅に伺って初めて病状がわかり、必要な薬剤などをとりに帰るといったこともあると伺っております。  今後の医療をより効率的で効果的、質の高いものにしていくためには、医師、訪問看護師、訪問薬剤師等の医療関係者の間での連携に加え、福祉部門の関係者との連携も必要になると考えます。確かに、患者の重要な個人情報である診療情報については厳重な管理が必要であることは論をまちません。しかし、それを前提として、患者を支える医療、介護の関係者がお互いに情報を共有し、患者のために活用していくということが肝要であります。まめネットの利用拡大に向け、今後どのように取り組んでいかれますか。医療と福祉の連携も含めまして、お考えをお聞かせいただきたいと思います。  次に、医師確保、とりわけ県内の初期臨床研修の状況について伺います。  本県では、離島・中山間地域はもとより、ここ十数年、県内の2次、3次医療を支えるはずの中核的な病院でも医師不足が深刻化しているのは御承知のとおりです。中でも特に、県西部地域では、ことし4月から、済生会江津総合病院の小児科、益田赤十字病院の麻酔科の常勤医師がいなくなるなど、医師不足の状況が相変わらず続いています。このような中、本県唯一の医師養成機関である島根大学医学部においては、定員増により、今後誕生する医師はふえる見込みです。しかし、毎年100名前後いる卒業生のうち、今年度県内で初期臨床研修を行う卒業生は31名と聞いています。  現在の臨床研修制度が始まる前の平成15年では、島根大学医学部卒業生103名のうち、49名が県内で就職をしており、当時と比較すると、今年度、県内に残る島根大学医学部卒業生は少ないと言わざるを得ません。これは、現行臨床研修制度の導入に伴い、医学生が卒業時に研修先を自由に選択できるようになったことによる影響が大きいと思われますが、しかし理由はそれだけだとは思えません。県も地域医療支援センターを設置するなど努力をされていますが、この状況について執行部はどのような認識を持たれ、今後どのように問題解決を図っていかれるつもりですか、伺います。  さて、今回の質問の最後に、福祉医療費助成制度の改正については、安定的に継続可能な制度を構築するために、自己負担額を500円から総医療費の1割負担とされた。1割負担を基本としつつも、特に配慮が必要な低所得者や若年障がい者については、自己負担額を低い水準に設定されたところである。この間の議論の過程において、医療費の自己負担を始め、県外での受診に係る費用や介助者の費用など、負担に耐えられない状況など、当初想定し得なかった事態も指摘されている。こうしたことを重く受けとめ、重度心身障がい児・者の福祉の向上に資する具体策の検討を含め、障がい者福祉施策の充実に努められたい。  このように、重度心身障がい者やひとり親家庭を対象とした本県の福祉医療費助成制度は、平成17年度の改正によって、改正前、自己負担額定額500円であったところを負担額に上限を設けつつも1割負担の制度となったところであります。  当時の状況としては、福祉医療に係る事業費がふえ続けており、また将来的にもさらに増加していくことが予想されていました。また、加えて、その当時の県の厳しい財政状況を考慮すると、従前の制度をそのまま維持することは困難であり、将来にわたって安定的かつ持続可能な制度にするためには、どうしても見直す必要があると執行部が判断した結果だと認識、理解をしています。  それを受け、県議会では、執行部のその判断を了としつつも、平成17年度島根県一般会計予算を議決するに当たり、福祉医療制度の見直しという事柄の重大さに鑑み、苦渋の選択として、障がい者福祉策の充実に努めるよう求める付帯決議を実に39年ぶりに行い、制度改正を承認したところであります。  冒頭、るる申し述べましたのが、その付帯決議です。その後、執行部においては、この付帯決議を真摯に受けとめ、今日まで、重症心身障がい児・者サービス提供体制整備事業や発達障がい者支援体制整備事業を始め、さまざま新規事業を導入するなど、障がい者福祉の充実に努めてきているところであり、評価をしています。  しかしながら、そうした中、この春から、県と市町村との間で現行制度の見直しについて検討が行われていると聞いています。まずは、どのような背景から、今般の見直し検討が行われることになったのか、その理由と背景についてお聞かせください。  また、もとより、障がい者福祉充実に異論はないわけですが、一方で、実施主体である市町村においては、その対象者数や取り組み状況、あるいは財政状況はさまざまです。そのため、全ての市町村の理解を得るには相当丁寧な説明と協議が必要であるというふうに思っています。現在の市町村との検討状況はどうでしょうか。最後に伺いまして、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) 30: ◯副議長福間賢造) 溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 31: ◯知事溝口善兵衛) 中村議員の御質問にお答えをいたします。  最初は、これまでの日銀による大胆な金融緩和についてどのように評価しているのかという御質問であります。  日銀の大幅な金融緩和は、これに米国景気の回復期待なども加わって、これまで円安株高が進むなど、一定の効果があったものだというふうに認識をしております。一方で、円安による輸入物価の上昇や最近の金融市場における乱高下などの懸念もあります。この乱高下につきましては、市場がいろんな材料を消化していけば安定化に向かうという見方もあると思います。まだ状況ははっきりしてません。  それから、ごく最近では、最近の円高の揺り戻しがあったわけでありますけども、あるいはそれに伴って、株価の下落ということもありますが、それは米国経済の先行き、そしてそれに伴う米国の金融政策がどのようになるのか、いろんな意見、見方があって、不透明な状況があることも関連してるように伝えられております。そういう問題があるということでございます。  それから、これは比較的学者の方などにもあるわけですけども、金融緩和だけでは国内の新規の設備投資の力強い回復を期待をするということは難しいんではないかという見方もあるわけであります。それがありませんと、雇用や賃金など、実体経済への波及には時間を要するということになるわけであります。そういう意味で、日本銀行の金融緩和の効果を現時点で全体的に将来も見渡して評価をするというのは、まだ難しい状況、よく状況を注視をしていく必要があるというふうに思うわけでありますけども、全体として、金融緩和の効果は出ておるということではないかと思います。  次に、アベノミクスの第2の矢、機動的な財政政策について所見を問うという質問であります。  デフレの要因であります需給ギャップをある程度解消するためには、起爆剤的なものが必要だという判断もあり、昨年度の大型補正予算など、機動的な財政政策がとられてきているというふうに思います。他方で、財政が出動するということは、税収がふえませんから、債務がふえるということになるわけでありますが、日本の国、地方を合わせた債務残高はGDPの2倍に達しておるといった状況で、歴史的にも国際的にも非常に高い水準にあります。したがいまして、機動的な財政出動を行うにしましても、財政の健全化の問題にも配意をしながら、内外の経済情勢をよく注視しながら行っていく必要があるというふうに思います。ここら辺はまだ結論は出ておりませんけども、いろいろ報道等で伝えられますのは、公的な日本の債務残高が減っていかない、ふえていくというようなことになりますと、日本国債に対する信頼などにも影響が及ぶ。そうすると、金利の上昇が起こる。そうすると、かえって難しい事態も生じる。やはりそういう財政の問題は非常に市場に大きな影響を与えるものですから、慎重に状況を注視しながら行っていく必要があると、対応していく必要があるというふうに、一般論でありますけども思います。  次に、島根県における公共事業の今後の継続性についてどのように考えるかという御質問であります。  島根の公共事業の規模は、国の補助公共事業がどうなるかということにも大きく依存をしてます。大体公共事業予算のうち国の補助公共によるものが6割程度あるわけでございます。それは政権の財政に対する政策のあり方によってかなり変動しております。そういう状況があります。近年の傾向として見ますと、厳しい国の財政状況の中で、補助公共事業費が削減されるなど、事業費の総額を確保するのに厳しい状況が続いておるというふうに見ております。  しかし、こうした中でも、県としては、ここ数年の動きを見ますと、国の経済対策に呼応して補正予算を編成するなど、必要な事業の確保には努めてきておるところでございます。補助公共の減少を若干の県単事業でカバーをするといったようなことも行っておるところであります。  島根県におきましては、防災対策や産業振興、定住対策を進めていく上で、社会インフラの整備が今後も必要であります。財政の健全化を進めつつ、国の経済政策等の動向を注視しながら、適切に対応していきたいというふうに考えておるところであります。  次に、公共事業の乗数効果について、幾つかのモデルの問題点などの御指摘があり、それについてどう考えているのかという御質問であります。  モデルは過去のデータに基づいて一定のモデルを構築しているわけであります。そのモデルの構築の仕方によって乗数効果も違ってくるわけでありまして、一概にどれでしかないという、どのモデルが適切だとかというのはなかなか言いがたいと思います。それから、過去のデータに基づいてますから、新しい事態が進行している、そういうものをどこまで把握できてるのかという点についても注意が必要であるわけであります。  いずれにしましても、島根県にとりましては、社会資本整備、社会インフラの整備ということは必要なことでございますので、将来の産業発展の基盤整備、災害に強い県土整備に向けて、可能な限りの努力はしていきたいというふうに考えておるところであります。  次に、民間投資を喚起する成長戦略についての御質問がありました。その意義は何なんだと、こういうことでありますが、現在のデフレは、日本全体として供給能力のほうが現実の需要よりも大きいといった事態が続いてるということにあるわけであります。  そうした中で、新規投資は、ある意味で供給の拡大になるわけでありますけども、供給の拡大にありますけども、それがいい品物をつくる、安くつくるというような投資であれば、これはビジネスとして成り立っていくわけでありますから、そういう投資は出てくるだろうと思いますけども、他方で、それよりも競争できないものは設備の廃棄だとか、そういうものが進まないと需給のギャップというのは縮まないわけです。実は、そういうプロセスを経ていいものをつくる企業が残り、あるいは設備投資が残り、効率の悪い、あるいは売れないものが市場から退場していくことによって、全体として力強い経済が構成されるわけでありまして、そこがどう進むかということは、なかなかマクロ的な経済政策で支援をするというのは容易でありません。一つの金利の低下は一般的に投資のコストを下げるという面がありますし、あるいは投資減税のようなものも浮上しておるような報道もありますけども、それは一般的な投資の拡大にはどれだけの効果があるのかというのはなかなかわかりません。やはり一番大事なことはイノベーティブなビジネスが拡大をしていくということ、それによって経済全体が強くなっていくということが大事なんじゃないかと。  それは言うはやすく行うはかたしでありまして、3本の矢の中で一番難しい課題だろうというふうに思うわけでありまして、妙案は余りないと思います。やはり粘り強くやっていくということはあるでしょうし、そういう、これも一般論でございますが、そんなところでございます。  それから、アベノミクスによる政策効果が島根県経済にあらわれてくるのには時間がかかると思うが、その間、国の経済財政政策に呼応してどのような産業政策、経済対策を行う考えかと、こういう御質問であります。  やはり島根は活力ある島根を目指すということでありまして、産業の振興、それによって雇用を創出していく。これが一つの大きな核だろうと思います。そのために、物づくり産業の生産力・受注力の強化、あるいはRubyなどを活用したIT産業の振興、農業等におきましては、有機農業の促進でありますとか、しまね和牛の振興対策、あるいは観光面におきましては、神話など歴史的な遺産、あるいは地域の資源を活用して観光振興を総合的に行っていくということでありますし、また森林資源などを活用して再生可能エネルギーの推進を行う。これによって投資をふやす、雇用をふやす。こうしたことを粘り強くやっていきたいというふうに思うところであります。  次に、消費税の増税について、タイミングを主体とした御質問でございました。  一般論として申し上げますと、国、地方を通じて、公的債務の累積が続いておって、このままでは将来の社会保障財源をどう確保していくのかということが大変難しい状況になっておる。そういう中で、やはり消費税の導入ということが長年議論をされ、方針が固まっておるわけであります。  しかし、おっしゃるように、消費税の引き上げ自体は、短期的には経済活動にマイナスの影響が及ぶわけでございますから、引き上げの時期等につきましては、経済状況等をよく政府が注視され、評価され、その上で慎重に判断をされるべきものだというふうに考えております。 32: ◯副議長福間賢造) 中村議員の質問に対する答弁の途中ですが、2時間たちましたので、しばらく休憩しまして、午後3時10分から再開をいたしたいと思います。よろしくお願いします。        午後2時56分休憩        午後3時14分再開 33: ◯副議長福間賢造) それでは、会議を再開いたします。  溝口知事。  〔溝口知事登壇〕 34: ◯知事溝口善兵衛) 中村議員の御質問に対しての答弁を継続いたします。  次の質問は、ドクターヘリの広域連携について、県内市町村における臨時離着陸場の拡充整備など、いろいろ課題があるんではないか。これについての所感いかんということであります。  ドクターヘリの広域連携によりまして、浜田・益田圏域等におきましては、広島県や山口県の基地病院から約20分で現場に到着可能になったようであります。この地域での救急医療の確保等に大きな役割を演ずるものと期待をいたしております。  当面の課題は、御指摘のように、離着陸場を整備するということであります。臨時離着陸場は、まだ整備がおくれてる地域もありますので、そういう地域において、市町村と調整をしながら設置をしていく計画としております。  それから、もう一つは、ヘリが着く病院自体に、敷地内、あるいは隣接地に離着陸場がない病院につきまして、これについても整備を進めていくと。所要の予算を計上して整備を進めてまいりたいというふうに考えております。  次に、まめネットの利用拡大に向けて、医療と福祉の連携も含め、今後どのように取り組んでいくかという御質問であります。  まめネットにつきましては、本年5月末現在、206の機関が参加をし、本年度末には350の機関、病院が44、診療所等が290との接続を目標に利用の拡大を図ろうとしております。  先般、国に対しまして提出した地域医療再生計画案では、在宅医療の推進が重点項目の一つでありまして、在宅医療の推進には、医師、訪問看護師、薬剤師等の連携が重要であるため、そのためにはまめネットが有効なツールであるというふうに考えておりますので、まめネットの利用拡大に向けて、さらに努力をしていきたいというふうに思います。圏域内の医療機関で構成した協議会等を活用しまして、地元医師会等の協力も得ながら、このまめネットの拡大を図ってまいります。  それから、診療の現場での活用方法の提案などをしまして、具体的な利用の推進に対する支援も行ってまいります。また、新聞、テレビ等マスメディア、行政のホームページや広報紙などを利用して、まめネットに対する知名度、認知度と申しますか、それを向上していきたいというふうに考えております。  次に、福祉医療について、2点御質問がありました。  1点目は、福祉医療の見直しの検討に入った背景いかんと、こういう質問であります。  3つぐらい理由があると思いますが、1つは、平成17年の制度改正から約8年が経過し、この間、福祉医療受給者に占める低所得者の割合がふえるなど、障がい者を取り巻く生活環境は厳しさを増しておりまして、このため、障がい者の方々の団体などから、制度の見直しを求める強い要望があります。  2点目は、前回の島根県の福祉医療の見直し以降、同様の観点から見直しを行った県も、中国5県の中にもあるわけでありますが、そういうところと比較をしますと、島根県の助成水準は相対的に低い状況にあるように見受けられるということであります。  第3に、平成18年に障害者自立支援法が制定され、障がい者の福祉サービスにつきましては、身体、知的、そして精神の3障がいの一元化が図られたわけであります。半数近くの都道府県が、精神障がいの方も制度の、福祉医療の対象としておるということでありますが、島根ではまだ対象になっていないということもあります。  それに関連しまして、福祉医療の実施主体である市町村の理解を得る必要がありますが、現在の市町村との検討の状況はどういう状況かという質問であります。  本年2月に、県と全市町村で、福祉医療助成制度検討会議を設置して、制度を見直していく方向で検討に入りました。検討のポイントは2点であります。  1つは、本人負担の上限額の引き下げ、2点目は、精神障がい者の方々への適用。この具体的な内容や実施時期につきましては、この検討会議を通じまして、議論を深めていくということであります。  いずれにしましても、市町村における障がい福祉施策への取り組み状況や財政状況はさまざまでありますので、個々の市町村の意見をきめ細かく聞きながら、検討を進めていく考えであります。以上であります。 35: ◯副議長福間賢造) 原健康福祉部長。  〔原健康福祉部長登壇〕 36: ◯健康福祉部長原仁史) 県内で初期臨床研修を行う島根大学医学部卒業生をいかに確保していくかという御質問にお答えいたします。  島根大学医学部卒業の県内研修医の割合ですが、臨床研修制度導入前には約5割弱であったものが、制度導入後には約3割という状況が続いております。加えて、県出身の島根大学医学部卒業生のうち、県内で研修を行う者の割合は、近年七、八割で推移しておりましたが、平成25年度、今年度には約6割と大きく低下いたしました。  若いうちに都市部の医療機関等で研さんを積むということも有意義なことと考えますが、若手医師の県内定着を図る上では、この状況は大変残念な状況でありまして、重く受けとめております。  とりわけ今後、毎年20名程度誕生する地域枠や奨学金等の貸与を受けた卒業生については、ぜひ県内で初期臨床研修を行おうという意欲を持ってもらいたいと考えております。このため、関係機関それぞれの役割に応じまして、次の3点の取り組みを進めてまいります。  まず、島根大学医学部附属病院や臨床研修指定病院では、島根で研修してよかったと思えるような魅力ある病院づくりや研修プログラムの改善に取り組んでいただきます。また、県では、より効果的な奨学金制度を検討いたします。そして、一般社団法人しまね地域医療支援センターでは、若手医師が島根に軸足を置いてスキルアップできるよう、キャリア形成の支援を行ってまいります。  こうした取り組みを関係機関が連携して行っていくことにより、初期臨床研修医の県内確保の実効を上げてまいりたいというふうに考えております。 37: ◯副議長福間賢造) 以上で本日の議事日程は終了いたしました。  次の本会議は6月11日に開きます。  本日はこれをもって散会をいたします。  御苦労さまでした。        午後3時23分散会 発言が指定されていません。 島根県議会 ↑ 本文の先頭へ...